2011 Fiscal Year Research-status Report
日本語教育プログラムにおけるエンパワメント評価の実践
Project/Area Number |
23520621
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鎌田 倫子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10334731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中河 和子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 非常勤講師 (00456401)
後藤 寛樹 富山大学, 留学生センター, 准教授 (30324031)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 アメリカ合衆国 / エンパワメント評価 / 日本語教育プログラム / 評価方法研究 / アメリカ評価学会 / 3ステップ・アプローチ / 使命の構築 / 現状把握 |
Research Abstract |
平成23年度、研究代表者の日本語プログラムでエンパワメント評価の実践を行い、評価方法としての有効性を検証する評価研究を開始した。計画概要:フェタマンら(2005)による3つの重要なステップ(1)使命の構築、(2)現状把握、(3)将来計画の策定を関係者全員の会議で決定する。可能な限りの関係者を含む評価チームにより評価計画策定、評価データの収集、評価結果の分析を行う。2年間の評価活動後、「エンパワメント評価」活動の分析評価を3年目に行う。 平成23年度計画:3ステップ・アプローチによるエンパワメント評価実践の開始、1)準備:外部評価者の決定、評価計画の策定、2)ステップ1:「使命の構築」、3)ステップ2:「現状把握」、4)ステップ3:「将来計画策定」、5)評価計画の策定と実施:評価ツール修正、データ収集、結果のまとめ、と予定した。 外部評価者:平成23年度前期、予定していた日本の研究者に外部評価者を辞退され、計画は難渋した。事態打開のためにアメリカ評価学会(AEA)2011年総会への参加を考慮したことで、AEAの「参加型、協働型、エンパワメント評価部会」のメンバーである日本人評価研究者の渡邊有樹子氏に外部評価者を依頼した。フェタマン氏に助言をもらう事と渡邊氏との打ち合わせのために、AEA総会に代表者と研究協力者の2名が参加した。最適な外部評価者を得て後期にエンパワメント評価実践を開始した。 エンパワメント評価会議:23年度に4回の評価会議を開いた。第1回(12月):PAC分析講習会、教員のベースライン調査として事前意識についてのデータを収集した。第2回、第3回(1月):外部評価者の指導の下、関係者全員により「使命の構築」「現状把握」と「将来計画」の一部まで実施した。評価チームによる第4回(3月):平成24年度のコースデザイン改革、コースの達成目標原案を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)アメリカから外部評価者を招き、エンパワメント評価を開始した。90%達成。2)後期に非常勤講師の声を吸い上げ、地域日本語教育の相互活動型会話クラスを初中級レベルに実験的に導入した。上級レベルの留学生2名とボランティア学生若干名を会話チューターとして配置し、効果を上げた。プログラム改革の方向性が見えた。70%達成。3)前期に留学生会の副会長の提案で、昼休みに日本人ESSクラブの学生らと日本語で話すJSS活動を実施した。その活動の参加者、異文化理解元履修者らが後期(1)の会話クラスチューターとして参加、日本人学生の留学生に対する認知度、国際交流活動への参加意識は向上してきている。80%達成。4)年度末、医学部、薬学部の複数の専門教員にプログラム改革や授業コマ数の増加に協力を依頼し、教務委員会等に提案することに理解を得られた。(1)(2)と異なり日本語教員や留学生ら当事者の行動による結果ではないが、プログラム外部に働きかけたことを評価する。60%達成。5)エンパワメント評価によりコース目標の改訂を開始、3ステップ・アプローチの手順の確認、問題点を認識した。80%達成。有効性の検証の為、教員へ事前調査を実施し、学習者へのポートフォリオ調査票を作成、実施した。60%達成。全項目の平均達成率73%と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度にエンパワメント評価(EP評価)実践を継続する。当事者によるEP評価会議で評価計画の策定と実施、データ収集と分析を行う。全体研究目的のうち、1)EP評価の日本初の実践例となるという、達成された目標1)を除く以下2)~5)を目指す。 2)EP評価により当該プログラムを改善する(プログラム改善課題)。3)日本語に曝される機会の少ない理系留学生の学習環境問題を改善する(学習環境改善課題)。4)留学生の言語保障の為に学習者や周囲の日本語学習に対する意識向上を図り、エンパワメント評価を実践する(社会的課題)。5)EP評価を実践し、手順の確認、問題点の発見、有効性の検証を行う。 平成24年3月第4回EP評価会議によりプログラムの初級A、B、2レベルを統合し、1学期で初級を修了するようコースデザインを改革することが提案された。平成24年度前期実施の為に春休みにシラバス、カリキュラムの修正を進めた。前期の初級クラスの習得状況により改善効果について評価し、計画の見直しを進める。 外部評価者を招聘してEP評価会議を8月、2月の2回開催する。当事者による評価会議と評価チームによる作業会議を適宜4回程度開催する。また、社会的エンパワメントを目指す、学習者、専門教員、事務等広義の関係者を含む拡大EP評価会議を開催し、プログラム目標の見直し、問題点や評価結果の共有を通じ、関係者にEP評価を周知する。新たなメンバーより新規提案を取り入れプログラムの一層の改善を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度も外部評価者をアメリカから招聘し、また、アメリカ評価学会総会2012へ研究代表者と研究分担者を派遣するが、学会参加旅費は研究分担者には分担金から支出してもらう予定である。2回のエンパワメント評価会議への外部評価者の招聘には、2往復で旅費約50万円、2回分で謝金14万円計上している。エンパワメント評価会議参加への非常勤講師4名の謝金が5回分で16万円となる。外部評価者がアメリカ在住の研究者になった事、アメリカ評価学会への参加により、この科研の予算はエンパワメント評価実践を成り立たせるための旅費に大部分支出されることになる。さらに今年度の間接経費を相互活動型会話クラスでボランティアチューターのまとめ役となるコーディネータ2名を雇用する予算に当てる。 外部評価者招聘2回:旅費500,000円(2回分)、謝金140,000円(2回分) アメリカ評価学会参加:旅費500,000円(2名分) エンパワメント評価会議費:謝金160,000円(4名5回分) 計1,300,000円
|