2011 Fiscal Year Research-status Report
意味的特徴の分析技術に焦点化した日本語教師の日本語分析力養成とその教材開発
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23520624
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 和寛 信州大学, 人文学部, 准教授 (70303485)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本語教師 / 教師養成 / 日本語分析 / 意味分析 / ストラテジー |
Research Abstract |
本年度は、類義語分析技術の熟達度が異なる日本語母語話者について、類義語分析での意味分析行動と、類義語の意味特徴説明における特徴や問題点を探った。このうち熟達度の低い日本語母語話者については、日本語教師養成講座で研究代表者が実施した類義語分析ストラテジートレーニングを通じて、受講者(非日本語教師)の類義語分析と意味分析行動を観察した。具体的には、トレーニング内で提示した類義語分析課題に対して受講者がワークシートに記述したアウトプットをデータとし、受講者の意味分析行動に見られる特徴を調べた。その結果、意味特徴の説明に関しては、意味特徴と用法の混同した説明や、例文内容と意味特徴とが未分化なままの説明が見られた。また、意味特徴説明に用いられるメタ言語が抽象的で、指示内容が不明瞭になる傾向も指摘できる。以上のような結果と傾向は、日本語教育経験のある、日本語分析の熟達度が高い日本語母語話者にも見られた。 一方、熟達度の高い日本語母語話者については、日本語教育学を専門とする大学院生(日本語教育経験者)を対象に個別調査を実施した。具体的には、日本語教師養成講座で用いたものと同じ類義語分析課題を提示して、被調査者がそれを分析している過程を文字化したプロトコルから意味分析行動を観察した。特に、例文分析との内容的な関係性を中心に、意味分析行動や意味特徴説明の特徴を探った。その結果、類義語の意味特徴を示唆する度合いが例文分析内容によって様々で、それが意味分析内容の具体性や的確さに関わりうることが明らかになった。 以上の成果をふまえて、類義語分析ストラテジーのトレーニング用教材(試作版)の修正と改善を進め、特に意味分析ストラテジーに関する解説と練習部分の充実化を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語教師養成講座において類義語分析ストラテジートレーニングを実施し、そこでの類義語分析課題と使用資料から、受講者が行った類義語分析と意味分析についてのデータを得た。また、日本語教育経験者に個別調査を行い、類義語分析過程と同時に意味分析の手順と内容についてのデータを得た。以上のデータから、日本語分析技術の熟達度が異なる日本語母語話者の類義語分析行動と、そこでの意味分析行動の特徴を探ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
熟達度の高い日本語母語話者(日本語教育経験者)と低い母語話者(非教師)に対し継続的に調査を行い、類義語分析において両者が行う意味特徴説明の特徴を探る。特に説明の観点と言語表現に着目し、意味特徴の説明で焦点化されやすい事象や項目を明らかにする。また、日本語教師養成での類義語分析ストラテジートレーニングの実施と教材試用から、意味分析ストラテジーの習熟過程を探り、トレーニング及び教材の効果的な内容と手順を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本語母語話者への個別調査に旅費を用い、調査実施とその後のデータ整理に必要な情報機器や消耗品に物品費を用いる。また、二次的データ作成にあたってアルバイトを雇用するほか、データ分析にあたって専門知識の提供を受けるために謝金を用いる。このほか、類義語分析ストラテジーのトレーニング用教材を作成するためのソフトウェアや情報機器、さらには図書・文献資料の収集に物品費を用いる計画である。なお、次年度使用額については、調査の実施回数が当初計画より少なく次年度に実施することとし、そのため研究費執行が少なかったことにより生じたものである。
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