2013 Fiscal Year Annual Research Report
意味的特徴の分析技術に焦点化した日本語教師の日本語分析力養成とその教材開発
Project/Area Number |
23520624
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 和寛 信州大学, 人文学部, 准教授 (70303485)
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Keywords | 日本語教師 / 教師養成 / 類義語分析 / 意味分析 / ストラテジー / ストラテジートレーニング |
Research Abstract |
本年度は、日本語教師養成講座で学ぶ日本語母語話者(被養成者)と、日本語教育経験のない日本人大学生(非教師)に同一の類義語分析課題を課し、両者による言語特徴分析と特徴説明について相違点と問題点を探った。被養成者については、これまでに収集したデータに加え、2013年に本研究者が一部担当した日本語教師養成講座でも新たにデータを得て分析対象とした。そして、分析手続きが意識化されていない状態での、無意識的な類義語分析に焦点を当て、そこでの意味特徴分析の観点と内容、手続き、そして説明で使用される言語表現に関して検討した。 第一に、言語特徴分析で採られる分析観点と手続きについて、特に被養成者の類義語分析から傾向と問題点を探った。その結果、意味特徴を中心に類義語の弁別的特徴を探る傾向と、対比によって弁別的特徴を明らかにする傾向の強さが観察できた。さらに、対比を利用した場合には、同一基準での対比がかえって妥当性の低い特徴説明を生じさせる可能性も指摘した。第二に、類義語の弁別的特徴の説明に用いられる言語表現に着目し、被養成者と大学生のアウトプットに見られる傾向や特徴を探った。テキストマイニングの手法を用い、類義語分析課題でワークシートに記述された類義動詞「なまける/さぼる」と類義副詞「ひそかに/こっそり」の言語特徴の説明を対象とした。その結果、特徴説明では基本的語彙を使用して弁別的特徴を示そうとする傾向が見られた。一方で、類義語同士の弁別性を如実かつ端的に示す語句の使用は少ない傾向にあることがわかった。 以上の成果を基に、類義語分析技術の習熟と向上を目的とした、類義語分析ストラテジーのトレーニング教材の修正と改善を進めた。特に、言語特徴分析のストラテジーに関する解説と練習課題について加筆修正を進め、教材の妥当性を高める作業を進めた。
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