2012 Fiscal Year Research-status Report
コーパスに基づいたコロケーション習得のためのeラーニング教材の開発と実践研究
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23520638
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
坂井 美恵子 大分大学, 国際教育研究センター, 准教授 (60288868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 由美 大分大学, 国際教育研究センター, 講師 (80264323)
中溝 朋子 山口大学, 大学教育機構, 准教授 (70305217)
大岩 幸太郎 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (90223726)
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Keywords | e-learning教材 / 日本語学習 / コロケーション / コーパス / モバイル端末用教材 |
Research Abstract |
1.前年度改良したコロケーション抽出プログラムを利用し、新しく公開された「現代日本語書き言葉均衡コーパス」(2011)に基づいたコロケーションデータを収集し直し、分析の後、動詞の再選定を行った。 2.コロケーション習得のためのWeb教材「コロケーション彗星」を、日本語学習者と日本人学生の協働学習のために利用することを目的とし、新たに「意見交換」機能を搭載した。この意見交換機能とは、留学生、日本人学生、教員がトピックを登録し、各々が当該トピックについて意見を交換するものである。登録されたすべての意見は誰でも閲覧可能で、コメントを書き込めるようになっている。システムの検証を行った後、上級クラスの学習者を対象にブレンディッドラーニングとして試行を実施した。その結果、教員だけでなく学習者側からもトピックの提示があり、限られた時間内で行われる授業では十分述べることができなかった意見の投稿や、ほかの学習者の意見についてのコメントなど、活発な意見交換が行われた。 3.モバイル端末で本Web教材を利用できるよう、システムの構築と検証を行った。モバイル端末用に練習問題の種類を絞りゲーム感覚で学習ができるようにし、前年度に拡充した新たなトピックとコロケーションも学習できるようにした。当初計画していたのは携帯端末用アプリケーションの開発であったが、学習履歴が取得できるようサーバに接続して使用する形態での教材開発を行った。大分大学と山口大学の留学生にモバイル端末を貸与するなどして試行を実施し、学習者からのフィードバックや学習履歴データの分析を行った。その結果、問題の解答方法や履歴の取得方法などに問題点が見つかり、システムの修正を行った。また、練習問題について、問題文を短くするなどの修正が必要であることが分かったため、修正を行った。 4.これらの研究成果について学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.前年度に選定した新しいトピックとコロケーションを搭載したことで、教材の拡充を図ることができ、この点については計画通りに進展している。しかし、モバイル端末教材に搭載する練習問題の修正が新たに必要となったため、より広範囲の語彙についてコロケーションデータを収集し教材を拡充すること、また解説画面を充実させることについては達成が遅れている。そのため、引き続き次年度にこれらについて実施する予定である。 2.日本語学習者と日本人学生の共同学習のための新たな機能の追加と検証を行うことができ、前年度の遅れは取り戻せた。 3.モバイル端末用のシステム構築については、前年度発注していた業者から、別の開発者に開発を委託することとなったため、完成が当初の計画に比べかなり遅れることとなった。しかしながら、今年度中に試行を実施することができ、システムの問題点も見つかり、修正も行うことができた。試行期間が短かったことから、引き続き試行を行い、システムの検証を行う必要がある。 4.今年度作成したモバイル端末用教材をさらに発展させ、サーバに接続しなくても広く使用が可能になるアプリケーションとして新たにシステムを開発することにしたため、達成が次年度に持ち越されることになった。このため、現在の達成度は当初の計画よりやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.コロケーション抽出プログラムを使用し、引き続き広い範囲のコロケーションのデータ収集と分析を行い、教材の拡充を行う。さらに多くのコロケーションを学習できるよう、例文と練習問題の作成も継続して行う。コロケーションの使い分けに関する分析も引き続き行い、解説画面の充実も図る予定である。それに伴うシステムの修正も随時行っていく。 2.Web教材とモバイル端末用教材の利用をさらに促進し、多くの学習データを収集することにより、問題点を発見し、教材の改良を引き続き行う。それと同時に、コロケーション習得に関して、研究成果を学会において発表し、その後論文にまとめる予定である。また、日本人学生にも引き続き教材の利用を促し、意見交換による協働学習を促進する予定である。 3.開発したモバイル端末用教材はサーバに接続して使用する形態であるが、これを広く一般の学習者も利用できるようにするため、携帯端末用アプリケーションとして新たにシステムを開発する予定にしている。現在、開発者との打ち合わせを行っている段階で、来年度早々に開発に着手し、来年度中に試行が行えるよう完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に繰り越す約500,000円の研究費は、携帯端末用アプリケーションとして新たにシステムを開発するために使用する予定である。また、システム修正のための専門的、技術的サポートの経費を計上しているほか、教材の拡充のために必要となるデータ収集やデータ入力を行う謝金として、研究費を使用する予定である。さらに次年度は最終年度にあたるため、研究成果について学会発表を行う旅費を計上している。
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Research Products
(7 results)