2013 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダーの視点から日本語教科書を再考する:社会変化を反映した教科書開発
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23520642
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
水本 光美 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (80326462)
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Keywords | 日本語教科書研究 / ジェンダー / 女ことば / 日本女性像 / 性別役割 / 教科書開発 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
研究3年目は、韓国と欧州で収集する計画であった教科書が期待通り収集できず、国内発行の教科書との比較分析のために必要なデータ量が収集できなかったため、データ対象を国内発行の教科書のみに限定することにし、新たに国内教科書数種のデータを収集し分析した。その他のデータ収集は一部を除いて終え、教科書と実社会のデータの比較分析から教科書のどのような点をどのように改変すべきかの提案をすることが出来た。 1. 教科書のデータ収集と分析:国内で新しく出版された教科書4種のデータ収集および女性文末詞の使用状況と女性像の描写に関する分析を加えた。2. 日本語教師の意識調査結果比較分析:日本国内&韓国の日本語教師と欧州の日本語教師の女性文末詞に関する意識調査結果を比較分析し、欧州の教師のほうが、従来のジェンダー・イデオロギーに影響されたバイアス的観念が潜在している度合いが高いことを明らかにした。3. 実社会における若い世代の自然会話のデータ補強:前年度、達成できなかった30代の女性のデータを補強し、20代と30代の若い世代の女性が実際にどのような文末表現を用いているかに関して分析を進めた。4. 社会学的データと国内教科書のデータ分析比較:新たに平成24年度と25年度の国家レベルの調査結果発表を資料に加え、今後の動向も見据えて、今後の教科書に描写すべき日本女性像(女性の社会進出、女性の職業)および家族形態の具体的な提案を行った。 5. 国際学会での研究発表と論文執筆:国際シンポジウムでの発表1件、国際学会の論文集での論文発表2件の合計3件。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外での研究協力者が期待通り活動出来なかったため、海外で出版された教科書のデータ収集が予定通り出来なかった。そのため、研究最終年にデータ対象を国内教科書のみに変更せざるを得ず、新たに収集した教科書データの集計と分析に時間がかかった。また、30代の女性による自然会話収集にも予想以上に時間がかかったため、今後の教科書における若い世代の文末表現を提案するためのデータ分析が研究最終年度内に充分出来ず、そのために、今後の教科書への提案が一部未完。したがって、当初予定していた具体的な教材モデルの開発までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の教科書が社会変化を反映したものであるためには、どのような点に注視しどのように反映すれば良いかに関して、具体案を学会で発表し意見交換をした上で、今後の教材モデルの開発を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度までに実施するデータ収集および分析に遅れが生じ、それをH25年度前半に実施したため、H25年度研究内容のうち、自然会話において女性文末詞を使用しない若い世代が実際にはどのような表現を用いるかに関する具体的な分析が一部未完である。そのため、H25年度中に教材モデルの具体案を完成しその研究成果を学会で発表する予定が実行出来なかったため、未使用額が生じた。 次年度には、一部未完の分析と教材モデルの具体案提示を完成し、その研究成果を学会で発表することとし、未使用額はその経費に充てたい。
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Research Products
(4 results)