2011 Fiscal Year Research-status Report
第一・第二言語における日本語名詞修飾節習得過程と類型論的差異の影響
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23520644
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
大関 浩美 麗澤大学, 外国語学部, 准教授 (50401584)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 名詞修飾節 / 第一言語習得 / 第二言語習得 / 関係節 |
Research Abstract |
1.平成23年度は、本研究課題と同様の資料収集を行っている先行研究や文献により、データ収集のための事前準備を行った。本研究課題で収集するストーリーテリングの手法によるデータは、多くの研究者が多くの言語母語話者を対象として既に行っているものであるため、それらのデータと比較可能なものにするために、収集方法等を精査し統制する必要がある。そのため、23年度はそれらの方法に関する文献や、それによって行われた先行研究の収集・講読・分析を行い、本研究課題での収集方法の検討を行った。2.本研究課題に関し、中国語・韓国語と日本語の対照研究を行なう研究者から、対照研究と習得研究を連携させたシンポジウム参加の招待を受け、研究打ち合わせ、シンポジウムの計画などを行った。本研究課題は、計画時には対照研究との連携は計画に入れていなかったが、学習者の母語と日本語に関する対照研究と習得研究で得られた結果を連携させた研究ができれば、本研究における結果の考察をより深めることができ、大変有意義な連携だと思われる。本研究課題のうち、どの部分で対照研究と連携することが最も有意義になるか等、計画を見直し、対照研究研究者との研究課題の摺合せ等を行い、現在はシンポジウムで発表するための研究を進めているところである。3.本研究課題は、研究代表者がこれまで進めてきた名詞修飾節習得研究を引き続き発展させる形で計画したものである。23年度は、これまでに得られた研究成果に関する招待講演を2回行い、現在までに得られている成果・これからの課題・現在進めている分析等について発表を行った。また、John Benjamins出版から出版された関係節習得に関する編集書籍にも、同様にこれまで得られた成果を発表したため、23年度前期は、そのための原稿の最終整理、校正などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度の本研究課題に関する研究の達成度は、当初の計画よりも遅れているため、「(3)やや遅れている」とした。その理由としては、採択や研究費交付時期の関係もあり、本研究課題に関する研究の開始が夏ごろになってしまったこともあるが、大きな理由としては、学会におけるシンポジウムのコーディネータとしての業務、出版社により依頼された原稿の執筆、校務等により、エフォート10%とした本研究課題に、計画どおりの時間が費やせなかったことが挙げられる。しかし、一方で、当初研究計画に入れていなかった対照研究との連携について、新たに計画・打ち合わせを進めることができ、その点では新たな進展があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成24年度は、中国語・韓国語母語話者を対象に、ストーリーテリングを使ったデータ収集をする予定である。収集したデータは文字化を行い、名詞修飾節の取り出し、分析を行う予定である。また、日本語を母語とする幼児を対象としたデータも収集する計画ではあるが、同様のデータを既に収集した研究者がコーパスとしてデータの公開を準備しているという情報があるため、現在、その研究者との連携ができないか考えているところである。2.収集したデータに関しては、名詞修飾節以外にも様々な用途での習得研究に使用することが可能であるため、とりあえず、研究代表者が指導している大学院生・学部生もデータとして使用できる形で整えることを考えている。3.対照研究の研究者と連携したシンポジウムに向けて、韓国語・中国語を母語とした学習者の名詞修飾節を機能の観点から分析する。この研究に関しては、中国語・韓国語との対照研究の効果を生かすために、当初の計画に多少変更を加え、中国語・韓国語とも共通する種類の名詞修飾節に特化した分析を行う予定である。また、新たに収集したデータの使用では間に合わないため、既存の学習者コーパスを利用して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.データ収集に関しては、被験者への謝金および、収集作業に関するアルバイト謝金を使用する。2.データの文字化に関しては、業者に依頼する。3.対照研究の研究者と連携したシンポジウムは、もともと他研究者の大学の周年記念イベントの一つとして企画中のシンポジウムということで、パネリストとなることを依頼されたものであるため、シンポジウム参加に関する経費は発生しないが、事前の打ち合わせ等に関しては、旅費を使用する。4.最新の研究動向に関する知見を得られる第二言語習得関係の国際大会へ参加するために、海外旅費を使用する。5.データ保存、分析用のコンピューターを購入する。
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Research Products
(3 results)