2011 Fiscal Year Research-status Report
議論の構造を説明する異文化コミュニケーション・モデルの発展とCMC環境への応用
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23520653
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 志のぶ 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30275507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 議論の構造 |
Research Abstract |
本研究に関して、平成23年度の一年間は大きく二点のことを行った。第一点は研究代表者のこれまでの研究(モノログの議論構造を記述する分析方法の確立、議論の構造産出に影響する要因、および構造の評価を説明する異文化コミュニケーション・モデルを提案・検証する実証的研究)の最終段階のまとめを行うことである。そして、第二点はこの研究を発展させるための新たな研究設計の準備である。一点目に関連する実績としては、モノログの議論の各種構造を日本人の受け手がどう評価するか、という点に関しての実証研究を行い、その成果を発表することである。結果は以下のように、23年度11月の国際学会での発表と、専門誌での論文発表に成果としてあらわれている。基本的に議論構造の評価については、一部の基準を除き日本人も、いわゆる西洋での一般的な議論の評価基準に沿った評価を行うということが示された。二点目に関しては、これまでの研究成果を相互作用的なコミュニケーション環境に応用するため、図書・文献のレビューを行い、学会出席等を通して最近の学術動向の調査を行った。この作業は現在継続中である。Suzuki, S. (2011). Perceptions of argument qualities in Japan. Paper presented at the annual convention of National Communication Association. New Orleans, USA. Suzuki, S. (2011). Perceptions of the qualities of written arguments by Japanese Students. Written Communication, 28, 380-402.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者のこれまでの研究を完結させることは、本研究課題の基礎を固めるためにも重要であるが、その点を考慮すると研究はいまのところおおむね順調に進展していると考えられる。これまでの研究では、モノログの議論の構造を記述する分析方法を確立、議論の構造産出に影響する要因を明らかにしたが、23年度はその最終段階として、受け手による議論の構造評価基準を明らかにした点で、一つの大きな目標を達成できたと考える。もう一つの目標である、これまでの研究を拡張し相互作用的な議論についての調査・実験の実施計画を立てる、という点については、図書・文献のレビューを通じて進行中であり、24年度にはこちらの作業を推進すべく更に努力する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、これまでの研究成果を相互作用的なコミュニケーション環境に応用するため、本研究で使用するモデルと調査・実験の設計を明らかにする作業を継続する。そのため図書・文献のレビュー、最近の学術動向の調査を継続する。特に、オンラインでの相互作用的コミュニケーション環境に特有の、社会的存在感の程度がどのように議論の質に影響を与えるか、という点の検証が必要である。また、これまでの先行研究のレビューにより、それ以外の要素、すなわち、相互作用の継続性についての見込み、先行する相互作用など他の要素が複合的に、議論を含めたコミュニケーションの質やその結果に影響を与える可能性が見えてきたところである。これらの点を考慮した理論の整理を行いながら、新しいモデルを考え、その検証に必要な調査・実験の細部を設計する。
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Research Products
(2 results)