2012 Fiscal Year Research-status Report
第二言語によるオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスとその対処方略
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23520658
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野呂 徳治 弘前大学, 教育学部, 教授 (90344580)
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Keywords | コミュニケーション不安 / ストレス / オーラルコミュニケーション / 英語 / 第二言語習得 |
Research Abstract |
本研究は,第二言語(外国語)としての英語によるオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスの影響とその規定要因及びメカニズムの解明とその対処方略の開発を目的とするものである。 研究2年目である平成24年度は,前年度実施した英語スピーチ課題を用いたコミュニケーション不安誘発実験により得られたデータについて,特に,不安によるストレスの影響に焦点をあてて,その更なる分析を行った。スピーチ課題により採集した学習者言語の分析にあたっては,複雑さ,正確さ,流ちょうさ,表現性の各観点を設定し,それぞれ,T-unit(独立節+従属節)の平均語数,誤りを含まないT-unitの割合,1分あたりの発話語数,誤りを含まない全てのT-unitの語数をその指標とした。その結果,不安を強く感じている被験者の学習者言語は流ちょうさ,複雑さが失われ,構成面で論理性,結束性を欠くと共に,内容面でも繰り返しが多く,表面的なものとなる傾向が見られた。さらに,このパイロット研究から導き出されたストレスの影響及びその規定要因に関する仮説の一般化を図ることを目的として,被験者数を6名から36名に増やして同じデザインでコミュニケーション不安誘発実験の追試を実施した。その結果,第一次データ分析においては,仮説を支持する結果が得られた。 この仮説については,平成25年3月に米国テキサス州ダラスで開催されたアメリカ応用言語学会において行ったポスター発表の際,外国語不安を専門とする各国の研究者からもその妥当性を支持するコメントが数多く得られた。今年度実施した追試で得られたデータは,今後,より詳細な分析を通して,第二言語におけるオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスのメカニズムの解明と,それに基づくストレス対処方略の開発にあたって有益な資料となることが期待されるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,研究2年目に,インターネット回線を利用したビデオ通話(Skype)によるテレビ会議を実施し,より実際的なコミュニケーション場面における不安によるストレスの影響を分析する予定であったが,初年度に予定していたオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスの概念構成が,調査協力者の不足のため予定通り進まず,研究2年目までずれこむこととなった。その結果,上述のテレビ会議によるデータ収集とその分析を延期せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目にあたる平成25年度においては,オーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスのメカニズムに関して得られた仮説の妥当性の検証を通してその概念構成を行い,それを基に,ビデオ通話によるテレビ会議を実施し,より実際的なコミュニケーション場面における心理的ストレスのメカニズムを解明し,その上で,その対処方略の基礎理論の構築に取り組む。その際,ある程度長期にわたって英語圏に留学している第二言語学習者を対象に,彼らが日常生活においてどのようなコミュニケーション不安を感じ,それにより生起していると予想される心理的ストレスに対してどのような対処方略を用いているのかについてのインタビュー調査を行い,その結果を分析し,理論構築に援用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究2年目の平成24年度は,より実際的なコミュニケーション場面でのデータ収集とその分析のためにインターネットを利用したビデオ通話によるテレビ会議システムを設置する予定であったが,全体的な研究の進捗状況に遅れが出たため,設置延期を余儀なくされた。ただ,テレビ会議の実施計画については,海外(米国)の研究協力者とすでに打ち合わせ済みであり,今年度のシステム設置に向けてあらためて予算を組み直す予定である。 また,データ分析の際に必要な統計ソフト(IBM SPSSシリーズ)についても,当初は初年度に購入の予定であったが,調査協力者不足によりデータ収集を十分に行うことができなかったため未購入となっているので,これについても合わせて購入するための経費を予算に組み入れる。 さらに,英語圏に留学している第二言語学習者を対象とするインタビュー調査の実施にあたって,必要な予算措置を講じる予定である。
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