2014 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語によるオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスとその対処方略
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23520658
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野呂 徳治 弘前大学, 教育学部, 教授 (90344580)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 心理的ストレス / 不安 / コミュニケーションに対する意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,第二言語としての英語によるオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスの影響及びそのメカニズムの解明並びにその対処方略の開発を目的とするものである。平成26年度は,実際のオーラルコミュニケーション場面において時々刻々と変動する第二言語話者の心理的ストレスの様相と,それが彼らの発話に与える影響を明らかにし,それを指導・学習が可能な対処方略の開発の基礎資料とすることを目指した。 米国での短期語学研修の参加者を調査協力者として,彼らの英語母語話者との会話場面を録音し,会話後にその録音音声を再生し,それを刺激として当該の会話場面を想起し,その時の自身の心理状態を報告してもらうという,いわゆる刺激再生法によるインタビュー調査を実施した。インタビューでは,当該会話場面で感じた不安,コミュニケーションに対する意欲(WTC),相手の発話の理解度,自己効力感についてそれぞれ5件法により自己評定させた。また,不安及びWTCの生起・変動がみられる会話場面について,調査協力者の発話ターン数と1発話ターンあたりの語数を算出した。さらに,彼らの発話にどれくらい自発性がみられるかを検証するために,会話者の発話が帯びているイニシアティブの強さを分析するイニシアティブ-レスポンス分析を行った。 その結果,理解が不十分なままで発話を求められたりするような場合は,不安が高まると共にWTCが低下し,発話ターン数及び語数の減少と発話のイニシアティブの低下がみられた。一方,自己効力感を感じられるような会話場面では,不安の低下に反比例してWTCの上昇がみられ,発話ターン数,語数共に増加し,イニシアティブの高まりがみられた。 この結果については,平成26年8月に英国ノッティンガムで開催された第二言語習得動機づけダイナミクス国際学会において研究発表を行い,各国の研究者の興味・関心を集めた。
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Research Products
(2 results)