2013 Fiscal Year Annual Research Report
MRIとNIRSの連携による英語学習者の語彙処理と文処理に関する研究
Project/Area Number |
23520660
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
上田 由紀子 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (90447194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内堀 朝子 日本大学, 生産工学部, 准教授 (70366566)
中村 和浩 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 研究員 (10312638)
橋本 洋輔 国際教養大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30568770)
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Keywords | 語彙(単語)処理 / 文(文法・構造)処理 / 格助詞 / fMRI / fNIRS / 左運動前野外側部 / 単純事象名詞 / 複雑事象名詞 |
Research Abstract |
平成25年度は,ほぼ計画通り,以下の2点の実験を行った.(i)格の処理に関する脳活動の測定, (ii)複雑事象名詞句処理(語における項構造の有無)に関する脳活動測定. (i)に関しては,これまでの多くの心理言語実験では,「単語」として一括りにされてきた,格を伴う語の処理と格を伴わない語の処理時の脳活動を,日本語の格助詞を用いたタスクを使い,fMRIとfNIRSにて測定した。fMRIの解析結果として,格助詞を伴った具象名詞処理から格助詞を伴わない具象名詞格処理を差分したところ,格助詞処理の特有の脳活動部位として,左運動前野外側部に優位な賦活を観察した。左運動前野外側部は,Sakai et al. (2002)以来が主張してきた「文法中枢」として機能する2つ脳部位の1つと一致する.これは,格助詞を伴う名詞句の処理が,単純な「単語」処理とは異なる「文法」処理を要求していることを示すものであり,生成文法理論がこれまで仮定してきた格に関する仮説の妥当性を示すものとなる.本fMRI実験の結果の一部は,日本言語学会第148回大会にて発表予定である.fNIRSの結果については,解析中である.また,本実験では,最終的な実験デザインに至るまでに,課題呈示時間と課題判定後のレスト時間に関しても実験を行った.結果,課題呈示時間での大差は見られなかったが、レスト時間は,3秒では十分なデータ取得ができず,課題呈示時間1.5秒+レスト時間6秒は必要であるという結果に至った. (ii)に関しては,「文法」処理に関わる脳活動が、具体的にどのような文法操作と関連したものなのかを明らかにするために,一般的には名詞句に見える英語の複雑事象名詞と単純事象名詞を使い,項構造の有無が「文法」処理にどれだけ関与しているか実験した.(ii)に関しては,被験者数が充分とは言えず,追加実験が今後も必要である.
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Research Products
(2 results)