2011 Fiscal Year Research-status Report
多言語・多文化に開かれたリテラシー教育についての研究:日本の言語教育への提言
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23520661
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福田 浩子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (60422177)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リテラシー |
Research Abstract |
本研究の目的は、今後必要とされる「日本人」の日本語能力(国語力)や英語をはじめとした外国語能力の養成のあり方、外国人居住者等の増加による日本語教育や継承語教育のあり方等を視野に入れ、それらをばらばらなものではなく、言語教育という枠組みで捕らえなおして、目指すべき「リテラシー」とは何か、日本の公教育でその「リテラシー」を身につけていくにはどの段階でどのようなことが必要なのか、ヨーロッパでの先進的な取り組みや理論を調査研究し、参考にしながら、日本の言語教育への提言をまとめることである。 2011年度は、まず研究計画を実行に移すための準備を行った。具体的には、文献の収集、連携研究者との打ち合わせ、海外研究協力者との連絡、打ち合わせ等である。8月に連携研究者との会議を東京大学で開催し、本研究の具体的なアプローチの仕方とスケジュール、調査項目を明らかにし、予想される論点について話し合った。次に、イギリスの言語教育について現地の関係者に問い合わせたところ、政権の交代により、言語教育政策も変化し、カリキュラムの見直しが2014年まで続く過渡期となっていることがわかった。スイスのバーゼルについても、Sprach Profileの改訂が行われるなど変化が見られ、調査時期を2012年に変更した方がよいという助言を得た。このことから、海外調査は2012年度9月に実施することに変更し、準備を進めている。 一方、国内でも多言語・多文化に開かれたリテラシーを意識した実践活動が行われつつある。2012年3月には、連携研究者吉村雅仁氏(奈良教育大学大学院教授)、EDiLicの会長でもあり欧州評議会専門家グループメンバーでもあるミシェル・カンドリエ氏らの国際ワークショップに参加し、情報交換を行い、多言語活動の理念や成果について話し合った。このことは今後の概念構築に非常に重要な意義を持つと予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3.11の被災により研究環境の整備に時間がかかり、研究に着手するのがやや遅れた。その後、海外の調査対象となる地域の関係者との連絡を取り合う中から、スイス(バーゼル)については、Sprach Profileの改訂の予定があり、2011年は変化の途上で調査のタイミングとしてはふさわしくないため、2012年にした方がいいというアドバイスをもらった。そのため、スイスの現地調査を2012年9月とし、それまでは文献研究等を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、スイスの現地調査を行い、先進的な言語教育を行っているバーゼルの言語教育の実態を調査することを主眼とする。また、その一方で国内での先進的な言語教育の実践にも目を向け、「リテラシー」の概念構築に向けて情報を収集し、また連携研究者や研究協力者との打ち合わせ、意見交換を経て、最終年度に多言語・多文化に開かれたリテラシー教育の提案ができるように研究を進める。最終年度には、学会(候補としては異文化間教育学会、国際理解教育学会、日本言語政策学会など)や研究会、講演会などで積極的に発表し、かつ、web上でも発信できるよう準備を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の研究費として最も大きな支出となるのは旅費である。これは、2011年度に計画されていたスイスでの調査を2012年度に行うというのが主なものであり、9月に連携研究者金森強氏(松山大学大学院教授)、研究協力者吉島茂氏(東京大学名誉教授)と3名で調査する予定である。この他に、EDiLicなどの学会もしくは調査、国内での研究会、調査、打ち合わせなどでも旅費を使用する計画である(合計2344千円計上)。そのほかには、翻訳や情報整理、情報提供(スイス等)のための謝金、及び図書・資料を含む消耗品の購入のために研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)