2013 Fiscal Year Annual Research Report
多言語・多文化に開かれたリテラシー教育についての研究:日本の言語教育への提言
Project/Area Number |
23520661
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福田 浩子 茨城大学, 人文学部, 教授 (60422177)
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Keywords | 言語教育 / 多文化共生 / EOLE / ELBE / Language Awareness / リテラシー / 複言語主義 / 言語プロファイル |
Research Abstract |
本研究の目的は、今後必要とされる「日本人」の日本語能力 (国語能力)や英語をはじめとした外国語能力の養成のあり方、外国人居住者の増加による日本語教育や継承語教育のあり方等を視野に入れ、それらを言語教育という枠組みで捕えなおして、目指すべき「リテラシー」とは何か、日本の公教育では何を目的とし、どの段階で何が必要なのか、ヨーロッパでの先進的な取り組みや理論を参考にしながら、日本の言語教育への提言をまとめることである。 本研究では、文献研究ののち、2012年9月にスイスのフランス語圏、ドイツ語圏での先進的な取り組みを調査し、授業参観や専門家インタビューを行った。その結果、いずれも複言語主義に基づき、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を参照した多言語に開かれた言語・文化教育が行われていることがわかった。移民の多いスイスでは、1990年代には移民の統合を目指していたが、現在は一歩進んですべての子供たちのためになる言語教育を行っている。公教育では(1)子供たちの社会化の支援、(2)学校で必要な学習言語能力の習得と向上、(3)母語・母文化の尊重、(4)異文化理解能力の養成、(5)言語への気づきと異なる言語・文化に対する開かれた態度の養成を目指し、また、初等教育段階から外国語の学習を導入しているが、その前提として、言語というものや多言語の存在に気付かせ、他者の尊重を学ぶ活動が併せて行われており、CLILや「言語プロファイル」など、教育方法やカリキュラム運用に際して工夫があることがわかった。2013年には、本研究成果を異文化間教育学会第34回大会で発表し、日本言語政策学会第15 回記念研究大会で日本の複数言語教育のパネリストを務め、同学会多言語教育推進研究会による「グローバル人材育成のための外国語教育政策に関する提言」の作成に加わった。今後は初等教育と教員養成を中心に引き続き研究を行う。
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Research Products
(4 results)