2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520666
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古家 貴雄 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (30238696)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中等学校の教員養成供給ルート / 高等師範学校 / 教授法 / 免許取得の履修要件 |
Research Abstract |
23年度は、戦前の中等学校の教員養成の供給ルート、特に養成機関の種類と教授法についての教授状況について、後者については教授法の担当者と授業内容を中心として研究を進めてきた。 まず、戦前の中等教員は大きく4つの養成機関ルートにより供給されていたことを明らかにした。それは、高等師範学校、女子高等師範学校などの目的学校、次いで官公立の大学や専門学校などの指定学校、さらに私立の大学や専門学校などの許可学校、最後に文検の合格者である。 次に教授法の状況に関しては、まず戦前の中等学校の英語の教員養成機関において、「英語教授法」や実習について実際に教育されたり、重視される跡が見られたのは、ほぼ養成の目的学校である高等師範学校だけであった。その他には文部省の文検(文部省師範学校中学校高等女学校教員検定試験)の口述試験において英語教授法の出題があるだけであった。 教授法の内容については、特にこれは東京高等師範学校のケースであるが、「英語教授法」の担当者は基本的に附属中学校の教諭が師範学校に出向して担当していた可能性が高いこと、したがって授業の位置づけとしては、第3学期に行われる実習(授業練習と言われていた)の事前指導的なものだったのではないかと思われる。内容は英語の各種教授法の紹介等であったと思われるが、具体的な内容については明確にはできなかった。 結論として、戦前から、戦後直後、現在にかけて、中等学校における英語の教員養成について、免許取得の科目履修の要件について、英語の専門科目が重視され、どちらかというと教授法や教育実習などの教員の教科の実践的能力に関わる教科目の履修義務はあまり重要視されていなかったといえるが、その傾向は戦前からすでに存在していたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、戦前から戦後にかけての高等師範学校や大学での英語教員養成の歴史を明らかにするという研究目的の内、戦前の日本の英語の教員養成制度の歴史的展開についてはある程度明らかにすることが出来た。具体的には、英語教員の免許資格制度の変遷、あるいはその供給ルートの種類を確定し、教授法が教えられていた教育機関をも特定した。 教授法については、その教育機関を高等師範学校などの目的学校に特定し、その担当者や教育内容もある程度明らかに出来た。 ただし、戦前の英語教員の能力や資質の教育機関ごとの状況について、さらには戦前の状況が戦後の教員養成システムとどのように繋がって来たのかという問題についてはあまり踏み込めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、23年度に引き続き、戦前の英語の教員養成機関、特に教授法が教えられていた高等師範学校の教員養成について詳しく研究していきたい。そしてさらに、実際に学生の教授能力がどのような方法で育成されていたのか詳しく見ていく。具体的には、教授法の授業を受けて実際に英語を教えることになる附属学校の教育実習の実態を把握したい。個人の実習体験記などの資料を探索する中で、学生の指導の状況を明らかにしたい。 さらには、教える科目の専門的知識が教員養成において重視される立場であるリベラリズムと教える能力の養成や教師としての人格や資質の養成が重視される立場のプロフェッショナリズムの両者のどちらが中等学校の教員養成において重視されていたか、あるいはバランスが取られていたのかも考察したい。それにより戦前の状況が戦後にどのように繋がって行ったのかも細かく見てみたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費の使用については、まず、「物品費」について23年度同様、古書購入に使用したい。さらに戦前の教員養成システムについて研究を重ねる必要があるからである。 次いで、「旅費」を多用したい。その理由は、23年度までで研究成果がかなり生まれたので、全国各地で開催される予定の学会や研究大会でそれを発表したいからである。 さらに、今年度は、それらの成果を報告書と言う形で交換し、その成果を広く世間に問いたいと考えている。そこで、「その他」の予算の中で、その費用を調達したいと考えている。 なお、今年度の予算を残したのは、報告書発刊のための十分な原稿執筆することが出来なかったことによる。この金額については24年度の発刊に繰り越す予定である。 平成25年度も24年度と同様の使用用途を考えている。ただし、「物品費」については学会発表用の機材の購入も考えている。
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Research Products
(2 results)