2012 Fiscal Year Research-status Report
英語コミュニケーションにおける言語・身体・情動・方略の総合的研究
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23520669
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
泉 恵美子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10388382)
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Keywords | コミュニケーション方略 / 身体性・ジェスチャー / 情動 / スピーキングタスク / 会話分析 |
Research Abstract |
本研究は、英語を用いた異文化コミュニケーションにおける挫折や故障の現象やメカニズムに注目し、会話をビデオカメラを用いて録画したものを言語・身体の動き(ジェスチャーや視線など)の分析と質問紙法による情意の分析を行うことにより、個人の言語能力・情動・身体・方略の関係を考察し、日本人英語学習者がコミュニケーション能力を育成し、自信を持って外国人とコミュニケーションできるように指導し、評価するシステムを開発することを目的としている。 今年度は方略、ジェスチャー、情動に関する先行研究を更に読み進め、昨年度の研究を継続・深化させた。特に、ジェスチャーをタイプと機能別に分類し、どのようなジェスチャーを有効だと感じているかをまとめた。 次に、タスクや習熟度による差は見られるのかを調べるため、Oxford Quick Placement Testと語彙サイズテストを実施し、習熟度を調べ、ペア活動をさせ、習熟度やタスクと言語・非言語・情意面からの方略使用の関係を見るために前年度と異なるタスクによる調査を行った。具体には、大学生(英語力は中級から上級)を対象に、ペアでの自由会話(喜怒哀楽を伴う体験について)を英語と日本語で実施した。会話はビデオカメラとICレコーダーで録音し、会話を書き起こし、ジェスチャーなど非言語の特徴についても記載すると共に、情動が日本語と英語で異なるのか、L1とL2で方略やジェスチャーに違いが見られるのかを分析した。先行研究でもL1とL2の違いや習熟度の違いでジェスチャーにも違いが見られるといったものがあり、比較を行った。また、タスク後インタビューを行い、うまく言えなかった点、ジェスチャー・情動などで気づいたことを聞き取った。それらのデータから日本人のコミュニケーションの特徴をまとめ、それらの成果を10月にインドで開催されたAsia TEFLの年次大会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、英語を用いたコミュニケーションにおける挫折や故障の現象やメカニズムに注目し、会話を録画・分析したもの、並びに質問紙調査を通して、個人の言語能力・情動・身体・方略の関係から考察し、日本人英語学習者がコミュニケーション能力を育成し、自信を持って外国人とコミュニケーションできるように指導し、評価するシステムを開発することである。今年度は、新たにタスクを行い会話の録音と分析、質問紙調査も実施し、ジェスチャーや情動について興味深い新たな展開もあり、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き研究を継続し、データ収集と分析を行うとともに、以下の方向に発展させる予定である。 日本人のコミュニケーションの特徴とCS使用をスピーキングコーパスThe COBUILD Projectや、アルクの日本人学習者の英語スピーキングコーパスやCHILDSを参考に、会話の問題箇所を拾い上げ、特徴を調べる。 それらを元に、スピーキングタスクや外国のスピーキングテストの評価例を参考にタスクのグレーディングの構成要素をまとめ、先の習熟度別の特徴を加味したCSのグレード別タスクを開発する。そして、スピーキングタスクの差によるCSの指導を行い、効果的なコミュニケーション方略を用いることでコミュニケーションが進むことを目指す。 最後に、コミュニケーション方略を言語・身体性・情意面から成果を集約・総括し、コミュニケーションの挫折、修復のための方略、タスク開発、指導と評価の点から研究成果をまとめ、学会発表を行うとともに、投稿論文としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画では、心理言語学・脳科学的観点から実験室で、アイカメラや多角カメラを用いて実験を行う予定であったが、別の課題が浮かび上がり異なる視点から実験を行ったため予定を変更した。 そこで、可能であればこれらを25年度に実施したい考えており、研究費を次年度に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)