2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 マラシー 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (00200212)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / タイ国 / チュラーロンコーン大学 / コーンケーン大学 |
Research Abstract |
平成23年度は「味覚語の表現」について研究するため、平成23年8月にタイの共通語における味覚語及び味を評価する際に用いられる言語表現に関する文献及び先行研究の資料を収集し、そしてタイの共通語を用いている20代~80代のバンコクの男女27名を対象にインタビュー調査を行った.それらを通して得た資料をもとに、タイ語における味覚語の基本語、その体系的関係、また味の評価表現の特徴、そしてそこに見られるタイ人のそれぞれの味に対する感覚、意識、嗜好、食文化を考察した. その結果、味の評価表現には、タイの東北の人々が用いている方言、そして東北の方言に密接的な関係を持っているラオス語の味の評価語も見られたため、平成24年3月に東北タイ人及びラオス人が用いている味覚語と味の評価表現の使用状況及びそれぞれの地域の人々の食生活を参考資料とするため、タイ東北のコーンケーン県、並びにラオスのヴィエンチャン、ルアンパバーン等において、日常生活で東北弁を用いている20代~50代の東北タイの男女23名、そして日常生活にラオス語を用いている20代~40代のラオスの男女13名を対象に味覚の基本語、味の評価語そして味に対する感覚や意識調査もアンケートとインタビューを通して行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「マン」という共通タイ語は豆やクリームのようなこくのある味として快適な味を表す基本の味覚語として用いられる以外にも、「油っこい」といった不快を招く表現としても用いられているように、同じ言葉を相反する意味合いで使い分けしているため、「マン」という言葉に表されているタイ人の感覚及び意識がまだ十分把握出来ていない部分があるが、全体的には、タイ語における味覚の基本語、単味と混合味を表す表現法、それぞれの味覚語の体系的関係、そして味の様々な評価表現を通して、それぞれの味に対するタイ人の感覚、意識、食物に対する嗜好、食文化を考察することが出来たため、研究はおおむね順調に進展していると理解している.
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Strategy for Future Research Activity |
「マン」という味覚の表現について引き続き考察していく一方、それらの基本の味覚語及び味覚の評価表現はタイ人の味覚とその感覚を表す以外に他にどのような転用のし方が見られるのか、またそこから、タイ人の感覚、意識をどのように解釈出来るのかを考察して行く.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年4月ー8月 味覚語の比喩転用についての文献や先行研究を調査するのと平行して、文学作品やWeb 上等からその比喩転用だと思われる例文を収集する. 平成24年9月 タイにおいて、チュラーロンコーン大学の研究協力者の協力のもと、味覚の比喩転用に関 する文献や資料を収集し、タイのインフォーマントに対するインタビューの調査も行う. 平成24年10月~平成25年3月 資料の分析をし、味覚語の比喩転用の特徴を考察し、その結果を発表する.
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