2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 マラシー 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (00200212)
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Keywords | 国際情報交換 / タイ国 / チュラーロンコーン大学 / シラパコーン大学 |
Research Abstract |
平成23年度に共通タイ語を用いているバンコクの人を対象に行われた調査および収集した資料に基づいて、タイ語における味覚語の基本語、その体系的関係、また味の評価表現について考察した論文を執筆した。味の評価表現については、平成24年3月にバンコクだけではなく、東北タイ、そして東北タイ語に類似しているラオス語の味覚表現の調査も行った.23年度と24年3月の調査から得た資料、収集した文献等を中心に、味覚表現における比喩転用とその特徴、そこに見られるタイ人の味および食物に対する認識、意識、またタイ人の食生活、食文化について考察し、平成25年3月に「味を表すタイ語表現における比喩」という論文にまとめた.比喩転用には、東北方言の味覚語からの転用が見られ、また「味」を表すのに、味覚だけではなく、視覚、聴覚、さらには嗅覚を表す言葉も用いられることが分かった.5感を表す言葉における味覚語と他の感覚語との関係を明らかにする必要があると思われるため、平成25年2月27日~3月9日に、タイ中部(バンコク、ナコーンパトム)を中心に、共通タイ語を用いている20代~50代の男女計106名を対象に色彩語に関するアンケート、そして、20代~50代の男女計11名への味覚語および色彩語に関するインタビューを行い、また関係する資料収集も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究目的」には、平成23年度には、味覚語、平成24年度には触覚語、平成25年度には聴覚語と嗅覚語について調査や資料収集を行い、平成26年度に比喩転用についての考察を行うと記載したが、23年度に行った味覚についての調査と資料に基づく考察から、24年度には他の感覚の表現についての調査や資料収集を行う前に、まず味覚表現における比喩転用を明らかにしてからの方が研究を段階的に進められると判断したため、当初の研究計画とは相前後することになったが、予定していた成果を得られたため、研究はおおむね順調に進展していると理解している.
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Strategy for Future Research Activity |
味覚の表現に多く見られる視覚語に視点を置き、味覚以外の他の分野の表現においても視覚語からの転用は見られるのか、一方、視覚を表す表現には他の分野の表現がどのように転用されているのか、また、視覚語と味覚語との間の共感覚的比喩にはどのようなものがあるのかを考察して行く.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年4月-8月 視覚を表す表現、そして、そこにおける比喩に関する文献や先行研究を調査するのと平行 して、文学作品やWeb上、等からの比喩転用だと思われる例文を収集する. 平成25年9月 タイにおいて、チュラーロンコーン大学、シラパコーン大学の研究協力者の協力のもと、視 覚に関する文献や資料を収集し、タイ人のインフォーマントに対するインタビュー調査も行 う. 平成25年10月~平成26年3月 資料の分析を通して、視覚語の比喩転用の特徴を考察し、その結果を発表する.
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