2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 マラシー 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (00200212)
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Keywords | 比喩転用 / メタファー / タイ語表現 / 視覚形容詞 |
Research Abstract |
本研究はタイ語における五感を表す表現に見られる比喩転用を考察することを目的としている。その一環として平成24年度に考察した味覚を表す表現における比喩転用には、「味が丸い(調和がとれていておいしい)」「味が尖っている(混合している味には甘みまたは酸味が際立っている)」のように視覚を表す表現が多く見られることが明らかになった。その結果から、平成25年度には視覚語に研究の焦点をあてることにした。タイにおいて平成25年2月27日~3月9日に、共通タイ語を用いる20代~50代の男女計106名を対象にし色彩語についてのアンケート、そして20代~50代の男女計11名へのインタビュー調査を行った。また、同じく平成25年9月2日~9月9日に、明暗覚、色覚、形体覚、内外覚、遠近覚、上下覚、前後覚、そして運動覚を表す形容詞の基本的な意味とそれらが転じた意味で用いられている語句について、共通タイ語を使用している30代~60代の計7名の男女のインフォーマントを対象にインタビューをし、またその関係の資料収集も行った。それらの研究調査および資料の分析を通し、視覚語の比喩転用を考察し、「タイ語における視覚語の比喩転用」(大阪大学大学院言語文化研究科、『言語文化研究』第40号、2014年3月)にまとめた。 また、視覚語の比喩転用を考察した際には、「近い・耳・近い・目(見届ける範囲)」のように、「目」と「耳」には同時に共起する慣用句がみられるため、視覚と聴覚の関係を、その比喩転用を通してさらに追求するために、平成26年2月27日~3月9日、タイにおいて30代~50代の男女計6名に対する、主に聴覚語についてのインタビュー調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究目的」には、平成23年度には、味覚語、平成24年度には触覚語、平成25年度には聴覚語と嗅覚語についての調査や資料収集を行い、平成26年度には比喩転用についての考察を行うと記載したが、平成23年度に行った味覚についての調査と資料に基づく考察から、平成24年度には他の感覚の表現についての調査や資料収集を行う前に、まず味覚表現における比喩転用を明らかにしてからの方が研究を段階的に進められると判断した。そして、平成25年度には視覚語も研究対象に追加したが、予定通り聴覚語と嗅覚語についての研究調査も行った。このように、当初の研究計画とは相前後することになったり、研究対象の追加があったりすることはあるが、予定していた成果は得られているため、研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
① 平成26年2月27日~3月9日、タイにおいて行った調査結果と収集した資料をもとに、聴覚語の比喩転用につ いての考察。 ② タイにおいて触覚語の比喩転用についての調査と資料収集を平成26年9月に行う予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に使用を予定していた謝金(研究調査と資料収集の補助)は、現地の研究協力者のご好意でボランティアとして頂いたため、当該予算が未使用となった. 研究調査、および研究の文献や資料収集にかかる費用に充てる.
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Research Products
(2 results)