2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 マラシー 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (00200212)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 感覚表現 / 比喩的転用 / 味覚語 / 視覚語 / 聴覚語 / 嗅覚語 / 触覚語 / タイ語表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年9月16~26日に、タイのバンコクとナコーンパトムで、「聴覚を表す表現」について、共通タイ語を用いているインフォーマント男女(計12名)に対するインタビューおよび資料収集を行った。それらの資料と、平成26年2~3月に収集した「嗅覚を表す表現」の資料とを分析し、その結果を平成27年3月に、論文「タイ語の嗅覚と聴覚を表す表現における比喩的転用」にまとめた。また平成27年2月27日~3月9日にも、タイにおいてタイ人男女(計10名)に対し「触覚を表す表現」についてのインタビュー調査及び資料収集を行った。現在、それらの資料を分析しており、今後「触覚を表すタイ語表現」についての論文にまとめる予定である。 研究期間全体を通していくつかの成果を得ることが出来た。まず、感覚を表すタイ語の基本語の使用例を数多く収集することが出来た。その中にはタイ語独特の基本語が見られることや、それぞれの意味や用いられている状況が時代や世代によって変化が見られることが確認出来た。また、比喩的に用いられるそれらの基本語には、「共感覚的比喩(synaesthetic metaphor)」の観点においては「比喩方向は一方向であり、その逆はない」とWilliams[1976]によって指摘されているが、その指摘のとおりであるものもあれば、その指摘とは違って、逆方向での転用の存在も確認できた。たとえば、上記の先行研究では「味覚→嗅覚」、「触覚→聴覚」という転用はあるが、その逆はないと指摘されているが、タイ語においては逆方向の転用もある。言語的な特徴のみならず、それらの感覚の表現には、タイ社会の人々の生活様式、嗜好、価値観などが多く反映されていることも明らかになった。それらのことから、本課題研究がタイ語教育のみならず、タイの文化をより深く理解するための一助となるものと考える。
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Research Products
(1 results)