2011 Fiscal Year Research-status Report
文字チャットで発揮される能力と一般的英語能力との比較研究
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23520677
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 右文 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (90243873)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 文字チャット / 英語 / 対話演習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際英語検定試験に見られるような英語の一般的能力と、文字チャットにおいて発揮される能力との比較研究であるが、平成23年度においては、勤務校で行われたTOEFL-ITPの実施結果の入手はできたが、後期に予定していた文字チャットシステムを利用した科目にわずかの受講希望者しか集まらず、チャットのログの収集や分析のできる状態ではなかった。これは想定外のことであったが、授業実施は平成24年度に延期せざるを得なくなった。23年度は全くの選択科目であった(それでも22年度までは受講希望者が少なくなかった)ことを反省し、23年度のうちに、下準備をして各方面の協力を得、24年度において前後期とも必修の授業の枠にコンピュータ教室も確保する体制ができた。したがってログの収集、分析ができなかったが、リアルタイムの文字チャットで発揮される能力とはどのようなものであるかについての予備的なまとめを行った。24年度に授業を実施しログを収集する中で見えてくるものもあるであろうが、これまでの積み重ねから考察できることを考察した。まず文字チャットでの単位時間あたりの産出文字数がある。語彙数では必ずしも最適な指標とはいえないものと予備的考察としては考えている。次に1文当たりの文字数が指標となり得る。長い1文を書けるということは、文法力や表現力を反映しているものと考えられる。さらに1タスクあたりの発言回数も指標になりうる。対話がそれだけ活発であると言える。他には単位文字数当たりの誤りの数が考えられる。文字チャットには話言葉には見られない特有の誤りというものがあり(たとえば語彙の脱落や余計なスペースなど急いで入力することに起因するようなもの)、それも指標たりえる。こうした点を予備的考察として確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で記したとおり、後期に予定していた文字チャットシステムを利用した科目にわずかの受講希望者しか集まらず、チャットのログの収集や分析のできる状態ではなかった。事情を詳述しておくと、平成23年度後期に、英国の文化に関する科目を全くの選択科目として自主開講した。22年度までは同科目でかなりの希望者があり、履修者の選抜を行う必要があるほどだったため、23年度後期について受講者数の心配をしていなかった。ログ収集のための授業実施ができなかったからにはやや遅れているとせざるを得ないが、そもそもの計画では平成23年度後期と24年度後期での授業実施だったものが、24年度前後期での実施に変更となるため、最後まで研究が遅れたままとなるわけではないものと思われ、「(4)遅れている」の判定にはならないものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」に記したとおり、想定外の展開のため、平成23年度において、計画していた授業の実施ができなかったに等しく、文字チャットログの収集およびそれの分析ができなかった。したがって当初予定していた研究計画を練り直す必要がある。そもそもの計画では、平成23年度後期と24年度後期に授業を実施することとなっていたが、平成24年度前後期の2学期に実施というように変更することとする。予定では、23年度後期の授業も、24年度後期の授業も、英語科目ではない自主開講枠の自由選択授業であったため、受講者数が確保できない危険があったわけだが、変更後は24年度前後期ともに、必修の英語科目の枠での実施としたため、一定数の受講者は確保できるようになる(これを実現させるために関係各方面に大きな負担をおかけすることとなったので感謝しなければならないし、同時にこれを予測しきれなかったことを反省しなければならない)。このようにすることで、3年間の研究全体が最後まで遅れたままになることは避けられるものと思われる。これ以外は、申請当初の予定どおりに進め、24年度中に文字チャットでのパフォーマンスを測る基準を確定させ、授業を実施して対話ログを収集し、予備的分析を行い、最終年度である25年度には、国際英語検定試験と文字チャットでのパフォーマンスの比較検討を行い、まとめに入るということになる。特に研究を遂行する上での新たな課題はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に、本研究を推進する上で最も必要だった備品を購入することができたため、平成24年度以降に必要となる金額は減り、30万円となっている。研究関連分野の図書が5万円、コンピュータソフト類が5万円、学会参加旅費が10万円、研究調査旅費が10万円となっている。しかし、上記の振り分けは申請時のものであり、1年半近く昔の計画なので、現在の段階では、旅費が少なくて済むのではないかと見込んでいる。そこで、授業の運営上の消耗品が必要になった場合等にはそれにも柔軟に振り向け、有効に使うことを計画している。
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Research Products
(1 results)