2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520679
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
島谷 浩 熊本大学, 教育学部, 教授 (10258337)
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Keywords | 英語外部テスト / 妥当性 / 波及効果 |
Research Abstract |
英語外部テストによる単位認定によって教養英語の履修が免除された学生に対して、卒業年度末に、英語外部テストによる単位認定の波及効果に関するアンケート調査を行い、43名から得られた回答の分析から次のような結果が得られた。 1)外部テストによる単位認定に、認定を受けた学生のほとんどは肯定的で、77%がプラスであったと回答している。単位認定がマイナスであったと回答者は9%で,それらは英語を学習しなくなり英語力が伸びていないことに不満を持っていた。2)単位認定を受けた後に、 51%の学生は自主的な英語学習を継続した。しかし、医学部生の66%は何もしなかったと回答している。3)受講免除によって空いた時間を活用できたと79%が回答している。しかし、主に「専門科目の学習」や「休憩・睡眠」に過ごしている。4)上級レベルの授業履修について、33%があれば「希望した」と回答している。希望する科目としては、「英会話」(67%)、「Debate」(44%)などが多く、会話能力の向上を望んでいる学生が多い。5)外部テストで測定されていない能力(会話能力など)までも認定し、通常のクラスでの外国人講師のクラスなどの受講機会を奪っているケースが見られた。6)単位認定によって履修免除するばかりではなく、より高い英語力を目指す者に対して、より高度な授業が提供されるべきである。学生は、単位取得の義務がない自由選択科目を望んでいる。7)外部テストによる単位認定は、高等教育機関での英語教育の存在価値に大きな影響を及ぼす可能性がある。その実施には十分な検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、高等教育機関の英語教育において単位認定などに広く利用されるようになった英語外部テストの妥当性と波及効果を、質的研究と量的研究の両面から分析調査するものであるが、現在までに、大学英語教育においての波及効果についての研究が終了し、その成果は、2012年度日本言語テスト学会全国大会で口頭発表されている。頻繁に利用されている英語外部テストの妥当性については、2012年度の教養英語クラスの受講者にライティングテストを実施し、その他の英語力に関する基礎データとともに、データ収集を終えている。研究データを分析することにより、当初の研究の目的達成が十分に達成されるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
単位認定等のために頻繁に利用されている外部テストでは、「話す能力」や「書く能力」などの英語を使って表現する能力が間接的に測定されるだけで、直接には測定されてはいない。英語を「書く能力」を直接測定するライティングテストを大学生に受験してもらい、間接テストと直接テストの外部テストで測定される大学生の英語力を検証する。 利用したテストは、G-TELPのライティングテストで、インターネット上で受験するテストである。テスト時間は1時間で、次の5つのライティング・タスクが要求される。1)与えられたキーワードを少なくとも6語用いて、80語以上のパラグラフを書くタスク。2)与えられた状況で、100語以上の私的な手紙を書くタスク。3)与えられた状況で、100語以上の公的な手紙を書くタスク。4)グラフを見て、120語以上で、その内容を記述し意見を書くタスク。5)与えられたトピックについて、140語以上で論説文(エッセイ)を書くタスク。 英作文で用いられた表現語彙などから、大学生の表現能力と一般の外部テストで測定される英語力の関係を分析・調査し、通常、単位認定等に利用されている外部テストの妥当性を論じる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を発表するための旅費、研究をさらにすすめるための書籍、ソフト等の購入、研究成果をまとめるための経費などに使用する予定。
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Research Products
(2 results)