2013 Fiscal Year Annual Research Report
英語による絵描写の文産出過程の解明とその支援に関する心理言語学的実験
Project/Area Number |
23520680
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
柳井 智彦 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (60136025)
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Keywords | 言語産出 / 文のプラニング / 絵描写課題 / 心理言語学 / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は,英語学習者が口頭で絵を描写するときの文産出のプロセスを心理言語学的実験によって検討し,教授・学習に寄与することである。昨年度は「句」レベルにおいて日英語の語順の違い(後置修飾など)が発話前の産出プラニングに影響するかを実験したが,最終年度である本年は,「文」のレベルにおける要素(動詞と目的語)のプラニング状況(動詞と目的語の語順は日英語で逆となる)を実験的に検討した。 実験は,例えば女の子がビンを蹴っている絵を提示し"The girl kicks the bottle."という英文を迅速に言わせた(絵に対応した英文はあらかじめ練習セッションで訓練 済み)。そのさい,2種類の音韻的干渉語(distractor)を絵に被せて提示した。例えば目的語bottleには音韻的に関連するbottomの場合と,無関連のstabを提示した。同様に動詞kickには,関連するkidと無関連のpushyを被せてそれぞれ提示した。計測するのは絵の提示から発話開始までの反応時間である。この実験法はPWI(Picture-Word Interference)と呼ばれ,関連する干渉語と無関連の干渉語による反応時間の差が顕著であれば,その語(例えば目的語)は発話前に活性化されている(すなわちプラニングされている)と判断する。結果は,目的語に関しては音韻関連のある干渉語によって反応時間が短くなる傾向(促進効果)が,動詞に関しては逆に長くなる傾向(干渉効果)が見られたが,有意差はなかった。今回の実験では主語を4種類(boy, girl, man, woman)用いており,その認知負荷は高く,発話前プラニングの大半が主語の判断に注がれたと思われる。 本年度の実験により,文産出プラニングは認知負荷と相関するであろうという仮説を得た。この仮説は教育的応用可能性を秘めており,次の研究に繋げる。
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Research Products
(1 results)