2013 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語の発達過程および処理可能性による中国語の文法項目導入順序の基準構築
Project/Area Number |
23520683
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
鈴木 慶夏 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (80404797)
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Keywords | 中国語 / 中間言語 / 第二言語習得 / 処理可能生 / 文法項目導入順序 |
Research Abstract |
第二言語としての中国語教育において「どのような文法項目をどのような順序で導入すべきか」について、学習者の中間言語に見られる発達過程や文法処理能力を明らかにした昨年度までの研究内容をさらに進展させた。その結果、文法項目導入順序の基準構築には、(一)学習者の中間言語体系の発達過程と文法処理能力という要因以外に、(二)インストラクションのあり方、及び(三)文法項目の種類という二つの要因も直接的に関わってくることが判明した。 上記(一)については、前年度までのの研究内容を発展させ、プロトコル分析という手法を運用して学習者の中間言語を構成する可変的な文法体系を記述し、中国語学と中国語教育における通説的多数説的な文法体系との相違を示し、中国語教育における現状の慣行に対する問題点を提起した。上記(二)については、本研究を将来さらに普遍的な学術的意義を有し得る研究課題に引き上げるために新たな知見を得るべく、25年度は主として、「疑問詞の連鎖」「疑問詞の呼応」「疑問詞の任意用法」等と呼ばれる文法項目をとりあげ、従来のインストラクションでは「疑問詞の用法」として扱われるに過ぎなかった文法項目を、文レベルで文型という文法単位で扱った上で構文としての意味・形式・機能の相関を提示し、今後へ向けて有効かつ具体的なインストラクションを採用する際の根拠を検討した。同時に、上記(三)については、教育文法の中で例えば前置詞を動詞とする等の方法で文法範疇を変更することによって、学習者の文法処理能力を高めたり中間言語の発達過程を短縮させたりすることが可能であることが観察された。そこで25年度段階での成果として、複数の学会・研究会にて発表し、参加者との討論を経て多くの意見を得られたので、今後へ向けて研究の上乗せと修正をはかることができるようになった。
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