2012 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータ利用の視覚認知型英語音声聴覚イメージの獲得に関する研究
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23520686
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大森 裕実 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00213877)
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Keywords | 英語 / 音声学 / CALL / ICT |
Research Abstract |
本年度の本研究は、昨年度の研究を継承発展させ、年齢や外国語学習歴の多様な最近の大学生がみずからのペースで英語音声を習得できるように、それを補助・強化するための音声学習プログラムを開発し、学習者の発音矯正と学習者ペースの英語音声習得を目標に定め、コンピュータと人的資源を活用したサポート体制を整備することが課題であった。而して、本研究では、大学生という臨界期を過ぎた成人の外国語学習者が、「認知し、理解し、納得したうえで、みずから進んで学習する心的態度を涵養するにはどうしたらよいか」を考究し、自律学習型の補助・強化となる視覚認知型の音声聴覚イメージを学習者が獲得できる学習モデルを構築し、実効性の高い運用プログラムを考察するところに意義がある。 本研究目的を達成するために、第二段階として、実験実習を十分に実施できる体制を所属機関内に整える必要があり、所属機関にある「音声学実験実習室」を「スピーチ・クリニック」として運用し、新しい試みに堪えるだけの音声ソフトを増設した――それはHOYA社音声ソリューション部製のGlobalvoice CALLであり、従来の同種のものとは異なり、既製のモデル語彙及び英文を用意する必要がなく、学習者が習得したいと思う英文をon demandでreal timeに打ち込むと、即時に「モデル音声波形」が表示され、学習者の録音音声について「発音・強勢・抑揚・タイミング」の4点から自動的に評価を得ることのできる優れたCALLソフトであり、その試行にも成功した。 所属大学で実施する英語能力試験(CASECに加えてTOEICが利用可能となった)の得点を参考に、被験者データの蒐集に努め、第三段階のデータ分析に入る準備が整いつつある。加えて、本研究の基礎的概念に関する考察を全国英語教育学会で発表し、他の研究者との意見交換も行なうことができたことは大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的にみて、本研究は第二年目に入り、予定よりやや遅れているといえる。計画した「音声学実験実習室」を利用した「スピーチ・クリニック」のインフラ整備も第一年次にかなりの程度まで整い、被験者に対する英語能力試験(CASEC)も実施することができた。ただし、次の三点において修正を余儀なくされたことは、予想外の出来事であった。 (1) 本研究において、ぜひとも導入のうえ活用すべきと考えられる新しいCALLソフト(HOYA社製 Globalvoice CALL)が開発されたが、その発売時期に起因する導入時期のずれ込みが生じ、第二年次後期まで試行的利用が遅れたこと。 (2) 被験者の英語能力の基礎データがCASECだけでなく、2012年度後期からTOEICでも利用可能となっため、そのデータ取得及び分析に手間取ったこと。 (3) 所属機関が採択されたグローバル人材育成推進事業の一環として設立することになった「多言語学習センター」におけるEラーニング整備に関する基本的構想と本研究との相関関係が大きかったため、Eラーニング整備に協力する時間に多くを割くことになり、本研究へのエフォートが予定より少なくなってしまったこと。 しかし、それとは対照的に、本研究の基本的概念に関わる論考「国際化時代の英語音声指導における課題と克服」を全国英語教育学会において発表し、研究全体は確実に推進できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の進め方は次のようになる。 (1) インフラ整備の完了した「スピーチ・クリニック」を利用した実験実習をできるだけ多くの学生を対象として実施し、実験群と統制群との英語習熟度の差異を明らかにするためのデータを継続的に蒐集する。 (2) 本研究に関連した研究者を招聘した学術講演会を開催して、当該研究分野に関する理解を深める。 (3) 本研究の中核たる「スピーチ・クリニック」を「音声教育特別研究センター」と位置づけて、近隣の大学の英語音声学担当者と意見交換を行ないながら、それらをまとめて専用ホームページで情報発信する。 (4) 実験実習によるデータを分析して、大学英語教育学会及び全国英語教育学会で発表する。また、開発した英語音声学習プログラムを公開して、学生の自律的学習に寄与する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の本研究遂行に関しては、グローバル人材育成推進事業の一環としての「多言語学習センター」におけるEラーニング整備に関する基本的構想と本研究との相関関係が大きかったため、Eラーニング整備に協力する時間に多くを割くことになり、本研究費予算の執行残は想定外に大きくなった。 次年度の本研究遂行に際しては、当初申請予算より減額見直しを図った備品整備費(図書、音声分析/CALLソフトの追加)及び旅費を中心に、本年度未執行額を加えて研究費を使用する計画である。次年度の研究費使用内訳としては、設備整備費(図書、音声分析ソフト)500、消耗品費275、旅費500、謝金等350、その他(学会参加、印刷)250[合計1875](単位は千円)を予定する。
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Research Products
(2 results)