2011 Fiscal Year Research-status Report
模擬国連交渉プロセスにおける会話表現分析とコーパスデータベースの構築
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23520687
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
ZENUK西出 L 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30453145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 ドナ 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (80347517)
ソープ トッド 近畿大学, 文芸学部, 講師 (00460676)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ネゴシエーション / 模擬国連 / コーパス / 会話分析 |
Research Abstract |
1、収集文献から英語教授教材における交渉を評価するためのデータフレームの開発を行った。現在、このフレームの下でのデータ収集と分析に取り掛かっている。2、61カ国から1,500人の学生が参加し、5日間に渡って21の会合が開催された「ハーバード世界模擬国連会議」において、音声・映像資料を収集した。3、ゼネック西出ローリ(研究代表者)、立木ドナ(共同研究者、神戸市外国語大学)、ソープ・トッド(共同研究者、近畿大学)の3名がその設立を支援した「全日本大学模擬国連会議(JUEMUN)」の第2回大会が平成23年度に神戸市外国語大学において開催され、ゼネック西出ローリが主催者として成功裏に会議を運営した。2日間に渡る同会議において交渉データを収集したほか、高校生・大学生がオブザーバー参加する中で同会議の意義に関する認知度を高めるとともに、JUEMON参加学生のデータを教室での準備作業を通じて収集し、国連安全保障理事会の模擬会議を実施した。4、音声・映像データの文書化プロセスの計画を立案し、データ分析に必要な機器類を購入した。今後、資料分析のための最新のソフトウェアの購入を予定している。5、4類型の交渉会話言語コーポラの構築計画に関し、外部専門家との協議を実施した。6、今後、英語での模擬国連会議に向けた教師教育と、学生の自発的なMUNクラブの結成に精力を注ぐ。平成24年のJUEMUN大会では、参加を希望する大学がさらに増え、また外国人学生を擁する高校からの参加も新たに見込んでいる。より多くの日本人学生が国内外のMUNに参加することにより、日本人話者に関するより多くのデータを収集することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者及び研究協力者は、カナダのバンクーバー及び神戸市外国語大学において開催された模擬国連会議において70時間以上のデータの収集を行ったほか、模擬国連に関する出版資料の収集を進めるとともに、会議においてプレゼンテーションの実施やワークショップへの参加を行うなどの活動を行った。平成23年4月開催の世界最大の国際模擬国連会議及びこれに続くいくつかの模擬国連会議に、同年3月に発生した東北大震災の影響で不参加を余儀なくされたため音声言語データの収集量が当初予定に比してやや減少しているほか、英語教授資料に関する分析研究もまだ作業を続行中ではあるが、全体としてはおおむね順調に進展しており、当初の研究到達目標はほぼ達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究計画の第2年次として、模擬国連会議(MUN)での交渉において用いられる言語とコミュニケーション戦略に関する調査を続行する。まず、4つの類型のMUN会議(日本のNNESによる会議、アジア諸国のNNESによる会議、欧州諸国のNNESによる会議、北米のNESによる会議)での討論における交渉スピーチ事象に関する資料の収集と、得られたデータの記述化を継続する。現在、日本、シンガポール、ドイツ及びカナダのMUNデータの記述化を進めている。ニューヨークで5日間に渡り開催される全米MUN会議は米国以外からの参加者が58%を占めるが、ここで開催される22の会合に参加し、音声言語資料等の収集を行う。また、MUN交渉のコーポラ文法、単一語彙と多語動詞ユニット、機能と目的に関する予備分析に着手し、MUN交渉データに関する応用会話分析を実施する。併せて、NES、欧州のNNESで英語堪能な話者、アジアのNNESで英語堪能な話者、日本人のNNESの4類型(将来的に増える可能性もある)の試験的MUN会話言語コーポラを構築するため外部専門家との協力を継続する。更に、英語教授用教材、とりわけ文科省認定の中学・高校教科書に主に焦点を当て、他の出版社による英語教授資料とともに、交渉に関する綿密な分析と評価の作業を継続する。平成25年度は、3カ年の研究計画の最終年度として、他の研究チームメンバーの協力を得ながら前年度までに収集した資料の分析に重点的に取り組む。得られたデータの記述化とMUN会話言語コーポラの構築作業を継続し、交渉に重点を置いた教科書分析を完了するとともに、重点事項である会話分析に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東北大震災の影響でデータ収集を予定していたいくつかの模擬国連会議に参加できなかったため物品費及び旅費の一部が次年度使用となっているが、これらの研究費は平成24年度において、7月6日~8日に近畿大学の主催で開催される「全日本大学英語模擬国連」、11月18日~23日に中国の西安で開催される「全中国模擬国連」、平成25年1月にドイツのボンで開催される「ボン模擬国連」、同年3月17日~23日にニューヨークで、また同年3月に開催予定の「ハーバード世界模擬国連」のそれぞれの会合におけるデータ収集に使用するほか、アップデートを待って購入を控えていたコーパス構築と会話分析に使用する最新のソフトウェアの購入に使用する。また、文科省認定の中学・高等学校の英語教科書に関し、更なる交渉話法分析を進めるとともに、交渉過程をより詳細に分析するため、会議参加者を効果的に活用している成功事例の分析・整理作業の継続に必要な経費に使用する。さらに、大学模擬国連協会や国連大学と連携しながら、ワークショップやプレゼンテーション、教育現場や各種準備会合などへの参加、さらには模擬国連に関わる学生・教員を支援するため地域への働き掛けを行う。平成24年度の研究費は、こうした上記諸活動の実施に必要な経費に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)