2012 Fiscal Year Research-status Report
電子書籍を利用した新しい語彙学習の検証:付随的学習と意図的学習の融合
Project/Area Number |
23520691
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
吉井 誠 熊本県立大学, 文学部, 教授 (70240231)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
H24年度は読解プログラムのプロトタイプの作成を行った。二つの方法で作成を試みた。一つはGoogle App Engine を利用し、オンライン辞書と連携する方法である。もう一つは本研究で必要な機能をMoodleに追加する方法である。検討重ねた結果、H24年度は後者を採択した。Moodleを利用した読解プログラムを開発し、Moodleに存在するGlossary(注)の機能を活用し、テキストに出現する難解語にGlossaryを追加した。注を追加した語彙はテキスト中でハイライトされ学習者の注意が向きやすいようになっていた。Moodleプログラミングの専門家の支援を受け開発した、次のような機能を追加した。すなわち、読解後に、テキスト中で検索した語彙が一覧として表示され、学習者はクリックするだけで、その語彙の意味を確認することができる機能である。読解後に意図的な語彙復習の機会を、各学習者の語彙検索に合わせた形で提供するプログラムである。 H24年度の前半では、このプログラムの開発を受けてパイロットスタディを実施した。大学生4名、大学院生4名を対象にプログラムを使用し、操作性、効率性、学習効果について意見を聞き、それに基づきプログラムに修正を加え、プロトタイプを完成させた。 H24年度の後半では、大学生約40名を対象に付随的学習に意図的な学習を追加する効果について実験を行った。2段階の実験を実施し、最初に意図的な学習を追加する効果について、追加するグループと追加しないグループを比較し検証を行った。次の段階では、プロトタイプを使用して個人の検索情報に基づいた意図的な学習を行うことの効果について、検証した。読解中に検索した単語の中で、最後の確認作業を行ったものとそうでないものを比較し検証する。これまでのプログラム開発と効果の検証について、南フロリダ大学の専門家と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度では予定していたプロトタイプを完成することが出来、第一歩の検証を行うことができた。プロトタイプのプログラムを使用して本実験を敢行しデータ収集ができたことは予定通りであり、達成度と進み具合は妥当なものであると言える。 H24年度の後半に実施した実験では様々なデータを収集することが出来た。目標単語に関する事前知識、読解直後の語彙知識、2週間後の語彙知識(遅滞テスト1), 実験から5週間後の語彙知識(遅滞テスト2), 読解中の単語検索履歴、読解後の復習活動の記録(検索した単語の再度の意味確認)などのデータを収集した。今後は、これらのデータを早急に分析し論文にまとめることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
プログラムの改良に引き続き取り組む。単語を検索した際の注の表示が、ブラウザーによって異なる場合があり、統一した提示が出来るようにする。これを基に、最終実験を行う予定である。Google App Engine を利用して読解教材を開発する方法についても引き続き検討する。 H25年度の前半では、まず前年度に実施した実験のデータ分析を終了させる。プリテストの結果と実際の読解中の単語検索、そして、読解後の意味の確認の関係について分析し、それが語彙学習にどのように関連しているか分析する。結果をまとめ、学会で発表し、論文にまとめることを目指す。 H25年度後半に追実験を実施し、引き続き効果の検証を行う。また発話プロトコルの手法を利用しケーススタディを行い、学習者が読解中に、また単語の検索中に何を考えているのか考察を行う予定である。H25年度後半では、これまでの結果をまとめ最終報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の推進方策に基づいて次年度の研究費を以下のような項目のために使用する予定である。1) プログラミング開発のために研究協力者との打ち合わせのための旅行費、専門的な知見・技術の提供に対して必要に応じて適切な謝礼を行う。2) クラウドサービス、レンタルサーバーを活用し、そのための費用を計上する。3) 実験に必要な機器、物品を購入する。ケーススタディに使用するためのタブレット端末を揃える。4) 文献研究を継続して進めるため、資料や研究書の購入をする。5) これまでの研究の成果を発表するため、学会参加に必要な経費、旅費を計上する。6) 学会誌に論文を投稿するために投稿費、英文添削費などを計上する。
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Research Products
(2 results)