2012 Fiscal Year Research-status Report
英語多読長期継続の質的・量的研究ー読了語数の観点から
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23520695
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Research Institution | St.Margaret's Junior College |
Principal Investigator |
神田 みなみ 立教女学院短期大学, 英語科, 教授 (20327125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 敦子 近畿大学, 法学部, 講師 (60454633)
西澤 一 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (40249800)
黛 道子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (30331391)
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Keywords | 多読 / リーディング / グレイディッドリーダー / 英語教育 / Extensive Reading / TOEIC |
Research Abstract |
本研究は、英語多読を複数年にわたり長期継続した学生の読了語数が、環境的要因ならびに学習者要因とどのように影響し合うかを解明することをめざしている。初年度の予備的調査より、1年以内の英語多読では、読了語数の伸びと英語力への影響、ともに個人差があり、大きな効果は出にくいことが分かった。2012年度は引き続き、学習者の多読における読了語数データを蓄積して、特に、1. 多読初期と複数年継続の学習者の比較、2. 多読の長期継続につなげる読書指導、の二点について検討を行った。 1. 多読1年目と2年目の比較では、黛は1年の多読授業の最後に、アンケート調査と英語力調査を行った。そして、TOEICスコア上昇よりも情意面や学習動機の効果が大きく、2年目になってから、自ら進んで多読を行ない、極めて読書レベルが上がる学生が出現するという結果を得た。神田も半年では読書量も読書レベルの変化はあまり無いこと、西澤は4年以上の英語多読継続により数百万語の読書量が約1年の留学に匹敵するTOEICスコア上昇につながるという結果を得た。 2. 大きな英語力の伸びを得るために、多読の長期継続につなげる読書指導が必要である。グレイディッドリーダー等の効果的な多読用図書の語数を含む情報を掲載した英語多読ブックガイドのプロジェクトに神田、黛、西澤は取り組んだ。神田、黛は授業内の指導、様々な段階の学生に与える多読用図書の有効的な使い方に焦点をあて、西澤は海外研修、短期語学研修等の国際交流活動と多読の相乗効果について検証した。 学習者の読了語数等の追跡調査を続けて実施し、データを積み重ねており、英語リーディング能力をはじめとする英語力を伸ばすための多読指導への示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と研究分担者、研究協力者の合わせて4名の多読授業において、読了語数のデータの蓄積は順調に継続している。多読がカリキュラムに占める位置が異なる教育機関の研究者が協力することで、英語多読の継続年数、読了語数、多読用図書、学習環境、等について複合的なデータが得られている。 新たなデータ分析によっても、初年度と同様、1年間の多読については学生の個人差が大きいという結果を得た。本年度は、その具体的な要因については検証を試みた。具体的には、学習者要因としては、TOEICスコアとの関係、読めるようになったという実効感からくる情意や学習動機への影響、環境的要因としては国際交流活動について、読了語数との関連の検証を行なった。初年度の計画にあった学習者の情意や動機の推移をみるためのアンケート調査は、本年度、実施することができた。本研究の成果発表は、論文5本、発表5件、図書2冊と、当初の予定以上の充分な数であった。以上、現在までの研究進捗状況は、順調であったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度3年目の2013年度は、学習者の英語多読読了語数の複数年に渡る読了語数のデータの分析が中心となる。日本多読学会等の学会発表も予定している。研究申請段階では、多読時間の確保と多読用図書の選択を焦点として、質的データと量的データによる分析を行なう予定であり、加えて、最初の2年間の研究の結果、TOEICスコア、情意、学習動機等の学習者要因と環境的要因についても分析検討、結果の比較を行なうこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終3年目の 2013年度は、引き続き、英語教育、応用言語学および教育心理学関係の研究図書、多読環境の充実のために、多読用図書教材(本、 CD、 DVD等)を購入する。また、データの量的分析に用いる統計や分析のためのソフトウエアも新規に必要となる。日本多読学会等の学会発表や研究打合せのための旅費も、昨年度同様支出予定である。
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Research Products
(12 results)