2011 Fiscal Year Research-status Report
ユビキタス環境におけるデジタル教科書とモバイルラーニングの融合に向けた研究開発
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23520698
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小張 敬之 青山学院大学, 経済学部, 教授 (00224303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萓 忠義 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (00515752)
木暮 祐一 武蔵野学院大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (20565303)
半田 純子 サイバー大学, IT総合学部, 准教授 (90531301)
古川 宏 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (90311597)
伊藤 一成 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (20406812)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
平成23年度の研究では、最新のSmart Phone, iPad等で、配信可能な教材を検討して、授業と連携しながら、どのように音声・映像が配信できるか、技術実験を実施した。携帯電話やiPadで、Skypeを利用した遠隔授業を台湾の大学と行い、モバイルを統合的に利用した研究手法も探った。夏休みを利用して、学生にSmart Phoneを利用させ、人気のある英語学習アプリを調査し利用してもらい、どんな点が効果的だったか、使いやすかったかなどアンケート調査を行った。347名の学生を対象に、日常的なモバイル利用の実態から、モバイルラーニング等学習での活用の実情まで調査を行った。平成23年度の調査では,スマートフォンや、iPadをはじめとするスマートタブレットが社会に浸透し、これらモバイル端末を複数併用していることが判明、スマートフォンの所持率は74%、スマートタブレットはまだ4%であることが判明した。教科書利用(統制群)と電子教科書(実験群)を利用し、約60名を対象に比較授業実験を行った。2度の授業実験において、2つの群の読解試験における有意差がないことが判明した。 ICTを利用した授業(モバイルも含め)を1年間行った結果、約60名の学生のCASEC Computer テストの試験結果が2011年4月平均533点 (SD=94)から2012年1月平均588点 (SD=84) まで上昇した。モバイルの活用は、我々の生活を便利なものとしている一方、高機能化によるシステムの複雑化は進み、ユーザによる仕組みの理解が困難となっている。その教育への利用可能性が多くの点から述べられているが, まだ多くのマイナスの点は報告されていない。今後、人間の認知の発達には本当に何が必要なのかを見据えながら、 安全性にを十分に考慮した研究と教育が必要であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究では、12項目の具体的案目標を立て8項目はほぼ達成できた。347名の学生を対象に、日常的なモバイル利用の実態からモバイルラーニング等学習での活用の実情まで調査を行った。携帯電話やiPadで、Skypeを利用した遠隔授業を台湾の大学と行い、モバイルを統合的に利用した研究手法を探った。夏季休暇中にSmart Phoneを利用させ、人気のある英語学習アプリ状況を調査した。ICTを利用した授業(モバイルも含め)を1年間行った結果、約60名の学生のCASEC Computer テストの試験結果が2011年4月平均533点 (SD=94)から2012年1月平均588点 (SD=84) まで上昇した。23年度は、多くの国際会議、国内の学会等で研究発表をした。しかし、以下の項目が未達成であった。1) AOMAI等の携帯用LMSの教育効果の可能性を探る。(LMSを利用する権利の交渉がなかなか進まず、利用できなかった。)2) Learning Style & Strategyの点からデジタルラーニングとアナログラーニングの違いを探る。(詳細なアンケート実施ができなかったことと、授業実験デザインに不備があった。)3) iPhone や Androidのアプリを開発し、上記の調査結果を参考に、アプリを教育利用に開発してみる。(プログラマーの不足でできなかったこと、すでに多くの語学用アプリが存在しているために、開発するよりは、どのアプリを優先的に使用すべきかを検討した。)4) 学習者が各種ツールを活用でき、よって自主的・意欲的学習が促進されるよう、学習ツール・教材の機能や効果についての知識(メンタルモデル)を得るための学習者支援を検討する。(24年度も研究する計画で、次年度に回した。)これらを再検討しながら、平成24年度の研究計画に組み入れ、研究をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1ケ月に数回、Skypeを利用して、共同研究者同士の合同会議を90分ほど計画している。毎月、具体的な研究の詳細な実施状況と問題点を探りだし、23年度に実施できなかった項目を再検討して研究をしていく。すでに、23年度のアンケートの調査からも分かるように、ほとんどの学生がSmart phoneを所持しており、LMSやMoodle とSmart Phoneの連携を考慮しながら、授業に組み込んで効果的な英語教育を実施していく。平成24年度は、携帯電話を利用し、具体的に3つくらいの英語教育ソフトに絞り、前期と後期に分けて、モバイルラーニングをさせて、英語力の伸びや、アンケート調査を実施して、学習方策を探る。すでに、CASECのpre-testは4月に実施して、受講者の英語力は把握しており、2013年の1月にpost-test を実施して英語力の伸びを検討する予定である。前期に学習機能環境(モバイルを利用した学習環境・他)に対する適切なメンタルモデルをどのように学習者が有することができるか、メタ的な学習支援としてのヒューマンインターフェイスやマニュアルなど情報提供方法を開発し、後期にそれをモバイルラーニング(英語教育)に応用していく。授業の重要なポイントをいくつか絞り、時々ビデオ撮影をしながら、1年間授業観察を行う予定である。以下のような学会で発表を予定している。PC Conference 2012 (決定)LET Conference 2012(決定)EuroCALL Conference 2012 (決定)ASIA TEFL2012 (審査中)GLoCALL2012 (審査中)e-Learn 2013 (審査中)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、前年度のアンケート調査の結果から、学生にとって有効ないくつかのすでに開発されたソフトを授業で実際に利用し、シームレスな環境での、授業実験を行う。同時に、平成23年度に行った授業実験の弱点を絞り出して、システムに対する学習者の知識不足と知識獲得支援の観点から、電子教科書とモバイルラーニングの融合の教育効果を検証する。小張、萓が事前・事後テストを行い英語力の測定を行う。同時に、平成23年度の実証実験の結果を考察し、さらにより効果的な電子教科書とモバイルラーニングの融合を目指し、研究手法の改善をした授業実験を行い、平成23年度と24年度の比較検討をしてみる。古川、木暮、伊藤は、学習機能環境(モバイルを利用した学習環境・他)に対する適切なメンタルモデルをどのように学習者が有することができるか、メタ的な学習支援としてのヒューマンインターフェイスやマニュアルなど情報提供方法を開発し、それをモバイルラーニング(英語教育)に応用していく。学習者が自主的に学習を進めるには、自らの目標に対する各ツール・教材の有効性を正確に予測することが不可欠である。このために、学習ツールとして利用するシステム・機能に対する利点・制約・相互関係に関する適切に構造化された知識体系(メンタルモデル)の調査、学習者が有するメンタルモデルの内容と進度による変化の調査、学習目標(達成したい知識・技能の仕様)の調査、2者間の整合性の評価と適切な関係を検討し、これを実行するためのヒューマンインターフェイスやマニュアルなどの情報提供の方法を検討する。英語教育者(小張、萓、半田)と協力しながら、実際に電子教科書、モバイルツールを利用して24年度の授業実験で上記に述べたことを明確にしていく。国際会議等(EuroCall2012, e-Learn2012, ASIA TEFL)で研究発表を計画しているため旅費が必要。
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Research Products
(16 results)