2011 Fiscal Year Research-status Report
修辞疑問文の生成プロセスと習得モデルに関する日英語比較研究
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23520703
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
松谷 明美 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (60459261)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 生成文法 / 第一言語習得 / 第二言語習得 / 統語論 / 意味論 |
Research Abstract |
23年度に行った研究成果は、次ぎの通りである。まず、第1期前半(4月-7月)においては、プロジェクトメンバー(海外共同研究者である神谷正明氏(米国・Hamilton College)・Patricia Hironymous氏(米国・Glendale College)・松谷明美(高千穂大学・研究代表者))それぞれが、英語と日本語における修辞疑問文に関する先行研究を、統語論・意味論・運用論・音韻論から収集し、分析した。第1期後半(8月-9月)には、プロジェクトメンバー全員がロサンゼルスのGlendale Collegeにてミーティングを持ち、Yes/No Rhetorical QuestionsとWh-Rhetorical Questionsについて、各自が収集し、分析した先行研究それぞれについて議論をした。その議論をもとに、Research Questionsを設定し、それらを究明するための実験・調査を、統語論・意味論・運用論・音韻論の視点からデザインした。そして、Glendale Collegeの教授陣の協力のもと、パイロット実験を実施し、ターゲットセンテンスに関する容認度を調査した。第2期(10月-3月)においては、音声分析ソフトPraatを使用しながら、パイロット実験の内容とその結果を分析した。その中で発見された、パイロット実験の不備な点等を解決し、調査実験を改良することで、調査・実験をより精密なものにするため、更に先行研究を調査分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統語論・意味論・運用論・音韻論の4点から、先行研究を調査分析することに予定よりも時間がかかったが、8月にプロジェクトメンバー全員が集まり、打合せをし、実験をデザインしたことで、研究の能率を上げることができた。また、米国Glendale College の教員の方々の協力を得て、パイロット実験を実施することができた。そのデータをPraatを使い分析し、結果を考察することで、実験の改良に結び付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、統語論・意味論・運用論・音韻論の視点から修辞疑問文の生成および解釈のメカニズムについて、研究を推し進める。英語・日本語の大人の母語話者に対して、引き続き実験を実施し、データを分析する。その後、修辞疑問文の第1言語習得に関する先行研究を調査・分析し、実験のデザインを完成させる。そして、母語話者(日本語の修辞疑問文については、日本の幼稚園児に、英語の修辞疑問文については、アメリカの幼稚園児)に調査実験を行う。また、同時に、それぞれの言語の大人の母語話者(コントロール)に調査実験を実施する予定である。その後、データを分析して、第1言語習得プロセス・モデルについて考察する。さらに、第2言語習得プロセス・モデルに関する先行研究を分析した後、外国語(第2言語)として英語を学習している大学生に対して、調査・実験を行い、第2言語習得プロセス・モデルについて探究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第1期(4月-9月)においては、前年度から引き続き大人の母語話者を対象に調査・実験を再度行い、修辞疑問文に関する生成・意味解釈のメカニズムを明らかにするそのために6月にプロジェクトメンバーとのミーティング(日本)を予定している。そして、追加実験の結果をを論文としてまとめる。第2期(10月-3月)には、日本語の修辞疑問文の言語習得(第1言語習得)に関する先行研究を、統語論・意味論・運用論・音韻論の分野から収集し、分析する。そして、Research Questionsを設定したうえで、第1言語(母語)習得モデルを考案し、検証のための調査・実験(真偽判定作業・引き出し生産実験等)の計画を立てる。そして、パイロット実験を通して、実験内容を確認し、不備があった場合は、より精密なものにするために修正をする。その後、子供の母語話者(日本語の母語話者・高千穂大学付属高千穂幼稚園)に対して実施する。同時に大人の母語話者(コントロール)にも同じ内容の実験を実施する。その結果を統計処理し、分析を行う。それらをもとに、日本語の修辞疑問文に関して、第1言語習得モデルを考察する。この第1言語習得モデルに不備が発見された場合、改良を加え、その妥当性を証明するための再実験を検討する。幼稚園での調査・実験を実施するにあたり、12月または1月にプロジェクトメンバーとの打ち合わせを予定している。
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