2014 Fiscal Year Annual Research Report
修辞疑問文の生成プロセスと習得モデルに関する日英語比較研究
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23520703
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
松谷 明美 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (60459261)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 言語習得 / 生成文法 / 統語論 / 運用論 / 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26度に行った研究成果は次の通りである。第1期(4月-9月)においては、データベースCHILDESを使い、特に日本語の母語話者である幼児と周囲の会話を分析することで、wh疑問詞を含む修辞疑問文(rhetorical questions with wh-words)に関して、周囲による入力と調査対象者である幼児からの出力の両方が、wh疑問詞を含む疑問文(ordinary questions with wh-words)よりも遅いこと、そしてその理由が運用論の条件である参加者が共有していると信じている運用上の知識・信念(common ground (CG))の幼児による習得にあることを考察した。第2期(10月-3月)においては、海外共同研究者であるPatricia Hironymous (米国・Glendale College)の協力のもと、話者と受信者がCGを満たす中で、共有する命題(proposition)が特性照合の要素として機能する可能性を探った。さらに、単一ペアの解釈(single-pair reading)の可用性が英語において複数のwh疑問詞を含む修辞疑問文(rhetorical questions with multiple wh-words)を可能にする(Caponigro and Sprouse (2007)参照)と言うよりも、時制に関する原則 (Hornstein (1993) とReinchenbach (1947)参照)を守ることで、可能になることを明らかにした。時制構造が合法的な時制解釈を得られれば、日本語同様に英語においても複数のwh疑問詞を含む修辞疑問文が可能になるという結論に達した。さらに、修辞疑問文の使用が外国語としての英語の習得にどのような効果をもたらすかについても考察した。
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