2011 Fiscal Year Research-status Report
習得基準と自律学習の観点に立脚した非専攻課程ロシア語教育文法とプロファイルの構築
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23520714
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
堤 正典 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (80281450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 潔 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (20350374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ロシア語教育 / 教育文法 / 自律学習 / プロファイル / 習得基準 / CEFR / 国際研究者交流 / ロシア:フィンランド |
Research Abstract |
研究初年度である2011年度は、これまでの研究成果であるロシア語の非専攻課程習得基準と教育文法の再検討に着手した。まず、我々自身のこれまでの研究成果に加えて、国内外の種々の資料もふまえて、特に習得基準における低い方のいくつかのレベル(初等諸レベル)で習得すべき重要表現を重点として、それらが関わる文法項目について教育文法の検討作業を行った。また、逆に、文法項目の最重要事項から重要表現の検討を行い、さらには習得基準についても再検討作業を進めた。これらの作業は、本研究の目的である、語彙・文法・表現・レアリアを含んだ具体的な教育内容のコーパスであるプロファイル構築のための準備作業である。 国際研究交流としては、5月に、中国・上海外国語大学における国際ロシア語・ロシア文学教師連盟第12回大会で、日本の非専攻課程ロシア語教育について報告を行った。世界各国のロシア語教師やロシア語研究者との交流も行うことができ、本研究にとって非常に有意義であったと考える。また、ロシア語やロシア語教育についての様々な情報を得るために、文献調査の他に、9月に、ロシアのモスクワとサンクトペテルブルグ、加えてロシアの隣国であるフィンランドのヘルシンキにおいて、調査・資料収集を行った。特に、ヘルシンキでは、ロシア語で初等中等教育を行うバイリンガル校を視察することができた。さらに、2012年3月には、神奈川大学に日本とロシアのロシア語及び日本語の言語教育関係者を招いて「シンポジウム・ユーラシアを研究する『日露の交流と言語教育~ロシア語の新たなる国際性』」を開催し、情報交換と交流を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究として計画した非専攻課程習得基準の内容と教育文法の見直しは、自らのこれまでの成果に加えて、国内外の文献資料をもふまえて、特に初等レベルの習得基準や教育文法の最重要部分についてはおおむね行うことができた。 また、国際研究協力として、中国・上海で開催された国際学会(国際ロシア語・ロシア語教師連盟第12回大会)で報告を行い、ロシアやフィンランドに赴いての調査・資料収集を行い、神奈川大学において語学教育をテーマとしたシンポジウム(シンポジウム・ユーラシアを研究する「日露の交流と語学教育~ロシア語の新たなる国際性」)を開催した。 これらの進展状況からおおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、習得基準の再検討と補完を続け、同時に項目を整理してプロファイル構築に着手し、表現や文法、文型の電子データベース化を進める。また、諸国の研究者や日本国内の研究者とも連絡をとり、得た情報を整理し、プロファイルへの組み入れに活かす。ただし、レアリアは語彙・表現に関わると同時に、語学学習・教授とは独立して提示し、学習者に伝えられるものでもある。この点に関してはこれまでの非専攻課程習得基準を見直しつつ、プロファイルへの効果的な組み入れを考察する。 教育文法については、論点を精査して取りまとめを行っていく。 現地調査・文献調査を行い、ロシアとロシア語の動きを把握し、それを習得基準と教育文法の検討に反映させ、プロファイルへの整理を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2011年度は経費において、旅費で予定額を上回ってしまったものの、図書等の資料を購入するための「物品費」と通信連絡費や複写印刷費のための「その他」の経費支出が予定を大きく下回った。それは収集すべき図書等の資料の出版量が予想外に少なかったためと、通信や複写の出費をする必要が特に少なかったためである。また、ロシア語教育に関する専門的情報提供者のための謝金も使用することが不要で済んだ。そのため15万円ほどの余剰が出た。 2012年度は、文献資料の収集等の物品費、調査・資料取集のための旅費、専門的情報取集のための謝金の支出は予定通りとし、前年度の余剰分を印刷費として使用し、中間的な報告集を出版することとする。
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Research Products
(4 results)