2012 Fiscal Year Research-status Report
批判的思考力をピアとの相互交流で高めるための読解教材の開発と学習形態の構築
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23520715
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
峯島 道夫 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (10512981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 潤一郎 新潟県立大学, 国際地域学部, 講師 (50413753)
大湊 佳宏 長岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70413755)
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Keywords | クリティカルシンキング / 批判的思考 / 協同学習 / LTD / 読解 |
Research Abstract |
研究実績としては、まず前年度(H23)の研究計画に盛り込まれていた「CT(クリティカルシンキング)指導の実態の国内外の教科書分析による調査」が完了し、日本・韓国・フィンランド3か国の教科書30冊を比較・分析した結果を第42回中部地区英語教育学会で発表できたことが挙げられる。さらにその内容を同学会誌の紀要(査読あり)にまとめることができた。さらにこの分析過程を通して得られた知見を2012年度全国語学教育学会(JALT)浜松大会においても発表し、JALT 2011 Conference Proceedingsにまとめることもできた。 次に、本年度(H24)の研究計画の柱の1つである「新たなCT教材の開発」についてもまとめることができた。Steve Jobsのスタンフォード大学での卒業スピーチ(2005)をテキストとし、CTのための発問を含む授業プランをまとめた。そのプランをもとに「生き方が見えてくる高校英語授業改革プロジェクト」(三浦孝代表)主催のシンポジウム(10月)に参加し、最終的に亘理陽一代表(静岡大)の「授業プラン集」の共同執筆集者となった。 またもう一つの柱である「有効な学習形態の考案」についても見通しを得ることができた。2012年度の全国協同教育学会において知ったLTD・話し合い学習法がCTの伸長に大きく寄与する可能性があることが分かったからである。実際に本件代表者が大学3年生を対象とし2012年後期にLTDによる授業を実施した結果、授業最終日に受講生に行ったアンケートから、LTDが受講生に好評であり、同時に種々の個人特性に有意な変化が見い出せた。また提出された文章からは、研究の意図通り、批判的能力の伸長がうかがえた。この調査結果についてはH25年度の中部地区英語教育学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいる。研究2年目の課題は2つあった。一つはCTの伸長を目指す新たな読解教材の開発、もう一つはCT指導における効果的な指導形態の考案であった。1点目に関しては、「研究実績」でも述べたように、故スティーブジョブズ氏のスタンフォード大学でのスピーチ(2005)をテキストとしてまず決め、次に一連の基本的な読解問題の後に、学習者の批判的思考が特に必要とされるような課題を設定した。具体的には、ジョブズ氏の主張を一方に置き、他方にそれと相反するような主張を含む内田樹氏の小論2編(「人生はミスマッチ」「青い鳥症候群」)および初年度の課題である教科書分析を行った際に知ったフィンランドのIn Touchシリーズの教科書Course 3 Unit 1にある“Magical Mystery Tour”をカウンターバランスとして対置させ、両者を比較させることによって学習者に批判的思考を促した。これは授業案として「知的・創造的英語コミュニケーション能力を伸ばす進学高校英語授業改革モデルの開発」(プロジェクト代表者:三浦孝)に収められている。 2点目の課題である「授業形態の構築」に関しては、本研究の申請の時点から協同学習をその基本とすると述べていたが、協同学習の一技法であるLTDを採用することにした。LTDとは「話し合い学習法」と称され、基本的に小グループに分かれた学習者同士の議論によって授業が進行する。予め決められた8つのステップに沿って行われるLTDでは、学習者はテキストの内容の理解はもちろんのこと、筆者の主張に対する批判的な読み取りも要求される。これは、本研究のテーマである「批判的思考をピアとの相互交流で高める」ことに直結し、実際に研究責任者が試験的に行った大学での授業実践においても、学習者から多様な考えを導き出すことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
CT伸長のための読解教材として、より適当なテキストの探索・開発を今後も続けるとともに、3年目のメインの課題である実験授業の実施による教材とLTDの有効性の検証と改善、さらにWebサイトでの情報公開に力を入れる。実験授業は、本件研究責任者と分担者を主として行うが、同時に高等学校や中学校においても協力者を得られるように努めたい。また国外でのクリティカルシンキングの指導実態をつかむために、時期等の調整がつけばフィンランドへの授業参観を含む教育視察も行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目の課題として定めた教科書分析作業の発展的対象である、新学習指導要領に準拠した高等学校の英語教科書の購入が必要となる。批判的思考力の伸長を目標として明記した「英語表現I・II」の教科書を含む。 また、今後、交渉相手との調整がまとまれば、海外での学校・授業視察を行いたい(研究責任者のみ参加予定)。同時に研究成果を学会で発表する際にも経費が必要となる。現時限で、6月末の「中部地区英語教育学会」、8月の全国大会、11月の全国協同教育学会を予定している。 最後に、本研究のまとめとして、CT伸長に特化した読解教材と指導案、および学習者の回答をまとめたものを小冊子として製本・出版したいと考えている。
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Research Products
(6 results)