2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23520716
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
横田 秀樹 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 教授 (50440590)
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Keywords | 形態素習得 / 統語範疇 / 注意 / 気づき |
Research Abstract |
本研究の目的は、文法形態素習得において「注意」は意識的であれ無意識的であれ、どこに向いているのか、特に何に注意が向きやすく何に注意が向きにくいのか、また、その中でも何が優先されるのかを明らかにすることである。本年度は、これまで行ってきた実験結果を踏まえ、最新の第二言語習得研究の仮説との整合性を検証してきた。結果として、syntactic categoryの要素の中でも、普遍的要素は最初からほぼ完全に習得できる(意識的に注意を向ける必要はない)が、言語によってパラメター値が異なる要素に関しては、初期の段階では誤って、第一言語の値を当てはめて使おうとする傾向があるため、後にずれた部分は徐々に修正していくことが必要になるようである。この観察は、the Feature Reassembly Hypothesis (Lardiere, 2009)と一致する。つまり、普遍的要素に近いものや第二言語のパラメター設定値が第一言語と同じものは、比較的容易に習得できると考えられ、そのことが形態素の習得難易度が現れる一つの要因となっていると考えられる。ただし表面的に似ているだけの場合もあるので注意する必要がある。 同時に、注意を向けて「気づく」ということに焦点を当てれば、無意識的に気づいている(すでに持っている)レベルから、インプットの中にある特定の要素に気づき、関連の素性を加えたり削除したりしながら調整していく一連のプロセスの中で、形態素によって様々な「気づき」が関与していることも確かである。今後、本研究の内容をさらに広範囲で行うことで、それぞれの注意と気づきの役割をはっきりさせることができ、学習者にどのような言語要素を含んだインプットを与えれば習得を促進できるかが明らかになると考えられる。
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Research Products
(3 results)