2012 Fiscal Year Research-status Report
英語母語話者と日本人英語学習者の音韻・形態知識:語彙発達モデルの検討
Project/Area Number |
23520720
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
石川 圭一 京都女子大学, 文学部, 教授 (40259445)
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Keywords | 語彙発達 / 音韻知識 / 形態統語知識 / 英語学習者 / 派生の種類 / 語の頻度 |
Research Abstract |
言語学習者はどのように語彙を発達させていくのだろうか。母語話者と第二言語話者の語彙知識は、どのように、なぜ異なるのか。本研究は、英語母語話者(成人、子供)と日本人英語学習者(beginner, intermediate, advanced)を対象に、英語派生語の音韻知識(強勢の位置)と形態知識(形態素への分割)を調べることにより、語彙発達の過程の一端を明らかにしようと企画された。特に、語の処理と保持に関して、語全体を保持しているのか、規則に基づいた処理を行っているのか、どちらが優勢なのかという問題を中心に考察を加え、母語話者・学習者を含んだ語彙発達モデルを提案したい。言語学習者の語彙知識がどのようなものであり、どのように発展していくかという問題は、第二言語習得研究の中心課題の一つである。英語の理解・生成に関しては、派生語の知識は欠くことが出来ず、また語彙の発達に大きく貢献する(e.g., Marslen-Wilson, 2007; Tyler & Nagy, 1989)。 平成24年度の実施内容は以下の通り。 (1)実験材料の選定・作成:英語の語彙発達の過程を調べるための実験に使用する材料として、単一形態語と派生語の形での、英単語と無意味語を100語用意した。選定要因として、頻度と派生の種類を統制した。 (2)実験の実施と結果の解析:英語学習者(上級者20人と中級者20人)に実験を実施した。その結果、頻度は中級者のみに影響し、派生の種類は、英語力に関係なく、上級者・中級者ともに影響を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、パイロットスタディを行い、その結果、実験材料の選定を変更せざるを得ず、予想以上に作成に時間がかかった。しかし、平成24年度は材料の選定も終え、本実験を、40名の日本人学習者に対し実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、参加者に英語母語話者を加え、材料には無意味語を加える予定である。 母語話者を加えることにより、英語学習者の結果を、母語と外国語の相違の観点から検討することができる。また、無意味語を使用することで、実験参加者が持っている無意識の規則などを発見することができる。 また研究成果の一部を、海外の学会で発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続いて行う本実験の実施に伴い、次の研究費を使用する予定である: 参加者のもとで実験を行うための物品(PC、実験ソフト等)、旅費、実験参加謝礼、データ解析のための物品(統計ソフト、メディア等)。 本実験の結果考察のために、以下の研究費を使用する予定である:結果考察のための参考図書、結果を纏めるための英文校閲費、結果発表のための物品(プロジェクター、提示ソフト等) 結果発表のための旅費(国内及び海外)
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