2013 Fiscal Year Annual Research Report
英語母語話者と日本人英語学習者の音韻・形態知識:語彙発達モデルの検討
Project/Area Number |
23520720
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
石川 圭一 京都女子大学, 文学部, 教授 (40259445)
|
Keywords | 音韻知識 / 形態統語知識 / 派生接尾辞 / 英語習熟度 / 語彙発達 |
Research Abstract |
第二言語獲得研究の中心課題の1つは、言語学習者の語彙発達に関するものである。言語学習者は語彙をどのように発達させていくのであろうか。母語話者と第二言語学習者は、どのように、なぜ異なるのであろうか。また、第二言語学習者においては、異なった英語習熟度はどのような影響を与えるであろうか。本研究は、これらの問題の一端を解明するため、英語母語話者と日本人英語学習者 (intermediateとadvanced) を対象として、英語派生語の音韻知識(強勢の位置)と形態統語知識を調べた。形態的に複雑な語を理解し産出するためには、派生接尾辞の知識が不可欠である (Marslen-Wilson, 2007等)。派生語の知識は、子供、成人、また英語学習者においても、語彙発達上、重要な貢献をする。 本年度は、異なる英語習熟度を持つ日本人英語学習者の音韻知識と形態統語知識を調べた。その際、英語母語話者も参加し、結果を比較した。実験1では、英単語を用いて、語の頻度(低・高)と接尾辞のタイプ(中立・非中立)の影響を調べた。接尾辞のタイプは英語習熟度の中級者・上級者ともに影響したが、語の頻度は中級者により大きく影響した。実験2は無意味語を使い、課題の種類(音韻課題・形態統語課題)と英語習熟度(中級・上級)の効果を調べた。中級者は2つの課題間で大きな違いは無かったが、上級者は音韻課題よりも形態統語課題の方が成績が良かった。上級者のこの傾向は英語母語話者と同じであった。語彙の発達は、音韻知識が先行し、その後、形態統語知識が発達する可能性が示唆された。全体として、上級者はどの課題でも中級者より優れており、この事は、英語の派生語の知識が全般的な英語の習熟度と密接な関係にあることを示唆している。
|
Research Products
(1 results)