2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520724
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
小山 敏子 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (20352974)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電子辞書 / 検索語彙 / 第二言語習得 / 辞書方略指導 / 読解力 / 語彙サイズ |
Research Abstract |
今年度は、前回(H20年度-H22年度までの科研研究課題)までの教室場面での電子辞書方略指導の取組をさらに発展させた。すなわち、Readingのクラスにおいて辞書指導を行い、1)教授した辞書使用方略がどの程度定着するか、2)学習者の辞書引き行動に対する意識 に変化があるか、3)その結果、方略を使用すると検索語彙の定着率が向上するか、を中心に調べた。 この目的のため、前回までの取組より実施期間を延長し、かつ、メタ認知をより活性化させるタスクを設定した。このタスクでは、学習者らに未知語を中心に、ワークシートに検索語彙とその語彙情報を記載させた。また、辞書検索行動のあと、学習者同士が課題について自由に相談し、かつ、お互いが辞書を使って再度確認できるような学習環境を設定した。 被験者は、大学学部生15名で、英語習熟度は初中級レベルであった。この取り組みを10週間程度行ったところ、1)検索語彙の定着率は向上し、2)辞書使用方略も定着することがわかった。また、3)学習者らの辞書使用に関する意識向上も見られた。しかしながら、辞書方略指導に使った英文テキストの読解力につい ては、pre-、post-tests間で変化がなく、前回までの結果とは違うものとなった。同時に、本実践の前後で望月語彙サイズテストを実施したところ、この辞書指導のみならず他の学習要素に起因していることも考えられるものの、被験者らの語彙サイズは有意に向上したこともわかった。本研究結果は、今回の実践に至るまでの経緯を含めて、今年度、2回の国際学会、1回の国内全国大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
懸案事項であった「辞書使用方略」の定着の可能性が今年度の実験で確認できたこと、また、メタ認知を活性化させるような辞書指導を続けることで、学習者らの検索語彙の定着率向上の可能性が見いだされたことなど、概ね研究は予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
辞書使用方略の定着の測定方法について、今年度は質問紙による結果と英文読解問題の結果のみであったが、今後は、より正確なデー タを収集するため、辞書検索行動の運用面に焦点を当てて調べることとする。具体的には、1)イディオムなどが多く含まれる単文を20コ程度用意し、2)学習者がそれらを各自の辞書から的確に探し出せるか否かの実験を行う。同時に、質問紙調査により、学習者らの検索行動についての情意面も調べる。 また、教材を整理し、教室環境での辞書使用方略の具体的な指導法などを提案したい。加えて、個別に様々な英語力の被験者を募り、質的手法を用い、辞書検索行動のつまずきを調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、英語学習者の個別データを収集できなかったが、次年度はそのための被験者への謝金が必要となる上、電子辞書も購入する必要がある。データ収集にデジタルMovie、データ分析にPCと必要な ソフト、また、今後理論を構築する際に必要となる専門書も購入予定である。同時に、方略指導に利用できる教材を検討するための費 用が発生する。これらに加えて、今年度や今後の研究結果を国内外の学会で公表するための学会参加費や旅費も必要となる。
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Research Products
(4 results)