2011 Fiscal Year Research-status Report
初級者に効果的なマルチメディア英語教材:脳科学的考察を加えて
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23520732
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
中野 秀子 九州女子大学, 共通教育機構, 教授 (20309735)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 英語リズム / 脳波 / シータ波 / 外国語活動 / 英語表記 / ビート音 / 小学生 / ドライ電極 |
Research Abstract |
今回の研究ではまず、測定用のゲル式電極を使わず、小学生の被験者の不快感と疲労感を軽減できるドライ電極式脳波測定キャップの開発が急務であった。実験用ドライ電極式脳波測定キャップはインタークロス(株)に制作を依頼し、試作品の改良を続け、小学生の頭の大きさにアジャストする頭頂部の3点(C3,C4,Cz)での測定が可能なドライ電極を開発した。このキャップを装着した被験者(小学6年生、右利き男子2名)に以下のプロトコルの実験中の脳波を測定し、発話を録音し、ビデオで記録した。実験後、被験者に実験材料の難易度と脳波キャップ装着に関するアンケート調査を行った。実験A: (1)KenとMaiの会話の「絵+日本語+英語表記無し」を聞く。(2)「絵+日本語+英語表記無し」を口頭で言う。(3)「絵+日本語+英語表記有」を聞く。(4)「絵+日本語+英語表記有」を口頭で言う。実験B: (1)RIM「絵+日本語+英語表記無し」を聞く。(2)「絵+日本語+英語表記無し」を口頭で言う。(3)「絵+日本語+英語表記有」を聞く。(4)「絵+日本語+英語表記有」を口頭で言う。これらの実験の結果を現在計算し分析してその特徴をまとめている。現在得られたデータの脳波をα、β、θ波の領域の平均値を比較したところ、2人の被験者のデータではθ波に学習中の特徴がみられるが、被験者の数が少なく、ドライ電極では脳波の感知度が従来型に比べて低いので、得られた結果の有効性を調べるためにさらに、従来型のゲル式電極皿によって得られたデータと比較し、ドライ式電極の有効性を検討する必要がある。また、ドライ電極の改良点として児童の頭にさらにアジャストするベルトの開発と、脳波測定点として前頭部(現在は頭頂部)の3点に移動できるキャップの改良を提案し、6月にできる試作品を使用して実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究ではまず、測定用のゲル式電極を使わずに、小学生の被験者の不快感と疲労感を軽減できるドライ電極式脳波測定キャップの開発が急務であった。このキャップの開発に関して科研開始時期が6月以降になり、業者の選定、面談などに時間がかかり、ようやく試作品が完成したのが予定より遅れて冬休みを過ぎたので、実験を2月と3月の2回実施した。また、3月に実験を行ったのでアメリカの小学校視察も平成24年度に繰り越すが、本年度末には計画に近い達成度が得られると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究計画は以下のとおりである(1)実験用ドライ電極式脳波測定キャップはインタークロス(株)に制作を依頼し、試作品の改良を続け、平成24年度は小学生の頭の大きさにアジャストでき、前頭部の3ヶ所(Fz,F3,F4)での測定が可能なドライ電極式脳波測定キャップを開発し、購入する予定である。平成23年度のデータ解析はほぼ終わっており、平成24年6月には上京してインタークロス(株)において新しい被験者の実験と解析を行い、3月のデータとの比較・再検討を行う。これらの結果は、小学校英語教育学会全国大会(千葉大学、7月)、及び、大学英語教育学会国際大会(名古屋県立大学、8月)でパイロットスタディとして一部発表の中に入れる予定である。また、3月に実験を行ったのでアメリカの小学校視察も平成24年度のAsiaTEFLとTESOLの学会で、小学校訪問や小学校英語教育に関する知見を深め、発表も予定している。(2)従来型の電極との比較のため夏休みに小学生または大学生を使った実験を行う。(3)これ等の実験から得られた結果から、より効果的な教材について以下の観点から検討する:音、文字、イラストの提示法、小学生に効果的な英語のスピードとリズムなど(3)さらにのマルチメディアモデルのベース教材を作成し、平成25年度に従来型(紙ベース)、モニター表示(電子黒板)、self-learning(Web, iPad)などに変換しでとの違いを調べる準備をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費としてドライ電極仕様脳波測定キャップ、マルチメディア教材作成用のPCおよびself-learning用のiPadなどを購入する。またTVの教材を利用するので録画用のDVDデッキも必要である。謝金としては6、8、9、2、3月に実験を行うので謝金が必要である。さらに実験補助者、マルチメディア作成協力者にも謝金が必要である。旅費としてインタークロス(株)(東京)での実験のための旅費をはじめ、国内学会発表(3回)・参加(3回)、及び外国での学会発表(インド・アメリカ)を予定している。その他としてはインク、記録用メディアや機器接続用ケーブル、電池などを購入予定である。これらの研究計画を実現させるために、昨年度からの繰越金を含む研究費が是非必要である。
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