2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520737
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
奥崎 真理子 函館工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80233451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 健二 函館工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90342435)
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Keywords | respiratory rhythm / Japanese / shallow and rapid / English / deep and prolonged / listening / reading / comprehension |
Research Abstract |
平成24年度は、まず、呼吸機能とTOEICスコアの関連性の有無に着目し、研究協力学生14名をTOEICのスコアに基づき上位・中位・下位のグループに分け、英語リスニング実験、英語リーディング実験と最大呼気流速度の計測を行い、呼吸機能とリスニング、呼吸機能とリーディングという観点でグループ毎に特徴が示されるかを検証した。 リスニングでは、TOEIC上位グループは、音声の突然のリズム変化に反応するため呼吸間隔を小刻みに保つ呼吸機能を有していることが観察された。リーディングでは、TOEIC上位グループは、4名中3名の被験者に70WPM以上の黙読速度が確認された。しかし、本研究では黙読速度が70WPM以上の被験者はいずれも最大呼気流速度が標準値より低かった。よって、リーディングにおいて、呼吸機能が黙読速度に影響を及ぼす可能性は低いことが考察された。 次に,浅く速い呼吸リズムを有する学生4名に,ヨガや呼吸マスクを用いた呼吸トレーニング実験で深く長い呼吸リズムを獲得させ,合わせて英語リスニング実験と英語リーディング実験を行い,浅く速い呼吸リズムが深く遅い呼吸リズムに変わると英語リスニングとリーディング技能が変化するかを検証した. 呼吸トレーニングは被験者4名の肺活量に大きな変化を及ぼさなかったが最大呼気流速度の向上に影響した.被験者1名は肺活量も最大呼気流速度も3名に比べると大きく向上した.呼吸機能が向上した2名は英語リスニングにおいて音声リズムの変化に対応できる呼吸間隔を身につけたことが推察された.英語リーディング実験では、呼吸機能が向上した1名は浅く速い呼吸リズムから深く長い呼吸リズムに変わったことで,英語の黙読スピードや意味の区切り方に変化を及ぼした可能性が考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「呼吸機能に負荷がかかる姿勢で浅く速い呼吸をする英語学習者は,深く長い呼吸リズムを前提に表現される英語の聞き取りと読み取りが正しく行えない」という仮説を立て、平成23年度には,英語の聴解と解読に関する仮説検証の予備的研究として,函館高専生の英語聴解と呼吸との関連性とを調べる目的で音声チャンクと呼吸リズムに着目した英語聴解実験1)と,英語解読と呼吸機能との関連性とを調べる目的で黙読速度と呼吸機能に着目した英語解読実験2)を行った. 平成24年度は,予備的研究で得た知見を基に,浅く速い呼吸リズムを有する学生に,ヨガや呼吸マスクを用いた呼吸トレーニング実験で深く長い呼吸リズムを獲得させ,合わせてlistening実験とreading実験を行い,浅く速い呼吸リズムが深く遅い呼吸リズムに変わると英語のlisteningとreading技能が変化するかを検証できた. 更に、呼吸機能とTOEICスコアの関連性の有無に着目し、研究協力者となった学生をTOEICのスコアに基づき上位・中位・下位のグループに分け、個別に、listening実験、reading実験と最大呼気流速度の計測を行い、呼吸機能とlistening、呼吸機能とreadingという観点でグループ毎に特徴が示されるかを検証することができた。 以上の理由から、本研究は概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究データに再現性があるか確認するため,平成25年度の3年生を対象に呼吸機能調査と英語リスニング実験とリーディング実験を継続して実施する. 加えて,平成23年度に調査した浅く速い呼吸の学生を継続的に調査し, 腹式呼吸の定着によってTOEICテストのスコアが向上していることを数値で保証する. 平成24年度の研究で得られたデータを, 先行研究訪問調査を踏まえて分析し,本研究の妥当性を検証する(研究代表者・分担者共同担当). 今年度の腹式呼吸トレーニング用に、ヨガ講師と共同でDVDを作成した。通常の英語の授業にDVDによる腹式呼吸訓練を導入し、呼吸法の改善が英語力向上につながるかどうかを検証する。(研究代表者).
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の3年生230名と専攻科2年生20名に年4回ピークフロー値を測定するためにマウスピースを購入する。【250名×4回=1000個(100個2000円、20,000円)】 平成23年度からの継続研究協力者を含む30名に呼吸機能測定を行う。また、TOEICテストを6月と9月に受験させて、腹式呼吸の度合いとスコアの相関があるかどうかを調査する。【TOEICテスト受験料2990円×30名×2回=179,400円】 平成25年度には、国際学会2回、国内学会2回の成果発表を予定している。先行研究調査と合わせて、研究責任者と共同研究者2名分の旅費が必要である。【国際学会(欧州工学教育協会学会(2013年度ベルギー)25万×2名+ISATE(2013年度奈良) 6万×2名+国内学会5万×2回+諸費用5,832円】 よって、次年度の研究費の使用計画は、合計925,232円となる。
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Research Products
(3 results)