2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520743
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
MAHONEY Sean 福島大学, 行政政策学類, 助教 (50292454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪井 新一 茨城大学, 教育学部, 教授 (80254887)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小学校外国語活動 / 小中連携 / ALT/AET / 英語教育 / 早期外国語教育 / English Language Ed. / FLA |
Research Abstract |
本研究の目的は、主に全国の小学校・中学校の教師(JTE及びALT)から見た外国語活動のアセスメントである。小学校の外国語活動という新しい領域は2011年から本格的に取り組まれた。これは将来の英語教育を方向づけるので、本研究がおこなう実態調査は極めて重要になると考えられる。 しかし全国調査を実施する前に、現在までの日本の英語教育史、研究成果、そして他国の英語教育方針を明らかにする必要がある。前者について科研費で購入した資料を参考にしつつ、将来の論文に取り組みやすいメモ(研究代表は56ページ)に要約した。研究計画に沿って、2011年10月から福島、新潟、茨城の小・中学校の校長先生や学級教諭とのインタビューを始めた。11月の全国言語教育学会、12月に上智大学での応用言語学シンポジウム、3月にJACET 春季英語セミナーに参加し、湯川笑子教授、吉田研作教授やベネッセの研究者と直接に本調査について意見交換した。今月中に予備調査を実施する。 2011年9月他国の英語教育方針を調べるために1997年から小学校で英語を導入し、日本との共通点の多い韓国へ行き、資料収集やインタビューを韓国教員大学校、そして付属小学校及び中学校で実施した。韓国教員大学校の金教授の修士ゼミに参加する現役の小学校英語教師とディスカッションをしながら現代の韓国の英語教育に関する課題(例えば小学校でもCLIL(内容言語統合学習)の実践、教育機会の平等)を把握することができた。さらに付属小・中学校における教室での英語授業を調査した。同時に英語教師、ALT、英語科主任との話し合いで韓国の小・中学校英語教師課程の内容、学校の能力別英語教室などについて探求することができた。韓国でしか手に入らない論文も 韓国教員大学校及びソウル大学の図書館で入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的の達成度はいくつかの範疇に分けて評価する。3年間の科研究テーマの基盤となる資料は量、処理、質である。「量」は科研に役立と思われる資料のリストを随時作成し、そのリストの半分以上(本は約30冊、論文は約70文)を入手し、関連部分を要約した。これらの資料は、調査の実施、分析、発表に向けて大い「処理」上に参考となる「処理」。 資料の「質」は科研費で購入した研究資料のうち、バトラー後藤の「日本の小学校英語を考える:アジアの視点からの験証と提言」(2005年)、Enever, Moon, Raman (編集)の『Young learner English language policy and implementation: international perspectives 』(2009年)は世界の小学校英語の諸課題を扱ったものとして代表的である。日本の英語教育に焦点をあてる文献からは山口美穂と巽徹の「英語教育における小中連携に関する一考察」(2010年)や松川禮子と木下邦辛の『小学校英語と中学校英語を結ぶー英語教育における小中連携―』(2007年)が特に大事であり、調査の心理や方法論に関する文献の中ではZoltan Dornyeiの『Questionnaires in Second Language Research』(2003年)がこの科研企画に極めて重要な資料となる。 前述の通り、英語教師へのインタビュー、参加した国内学会、韓国の出張、資料収集では当初期待した以上の研究成果に結びついた。しかし2011年の東日本大震災の影響により、代表者が訪問できた学校の数も少なくなり、4種類の予備調査の実施は研究企画より二ヶ月ぐらい遅れている。本年6月の東北英語教育学会に発表予定を変更せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は「研究実施計画」の通りであるが、小学校教師に対する外国語活動に関する満足度や成功率のヒアリング調査について調査方法の修正も課題となっている。回答者が国の教育方針を批判する立場ではない場合は、なるべく間接的な質問が望ましい。既にこの質問の形成や内容を何回も調整してきたが、データをどう得るかは予備調査のフォローアップ・インタービューで回答者に聞くよりない。いずれの質問に対してもなるべく多くの回答者から率直な意見を得るために、これからも試行が必要である。基本的な研究の方向は変えないが、文部科学省の「平成23年度公立小中学校における教育課程の編成実施状況調査B票の結果について」によると、最近の3年間で外国語に関して小中連携を実施している中学校区が55.5%から 72.4% に増加した。その連携の実態や効果は、小学校を始めとし、中学校への影響を明らかにする方向にも進みたい。研究代表者と分担者は2012年内に予備調整の分析、信頼性解析;必要な修正について相談 、そして修正を踏まえた最終版を完成させることを目指している。年度末までに全国調査を実施することと、来年に向けて学生の助手を募集することを予定している。 外国語教育に関するアカデミック(学会)やノン・アカデミック会議で発表する機会をも求めたい。大震災の影響により研究活動に支障が生じたが、2012年度に研究専念期間(サバティカル)を取得したため、今後遅れを取り戻すつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予期しない費用がなく、研究費の使用企画は「研究実施計画」の通りに行う予定であり、2012年度に全国調査を補助する大学生の研究助手を雇用して、 封入作業、複写、メール便出しをおこなってもらう。大切な自由記述(日本語・英語それぞれ)データのコンピューター記入作業は、学生にするか専門会社(例えば企画書に書かれた「PIC仙台」)にするかまだ決まっていない。特に手書きの英語データの作業を英語圏の専門会社に依頼するかどうかはこれから研究分担者と相談する。なお、調査の回答率を上げるためには、実施するタイミングだけでなく、調査に用いる紙や封筒の質までもが大きな影響を与えるといわれている(Dornyei, 2003)。したがって、本研究では、調査方法についてもさらなる検討を重ねる。
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