2012 Fiscal Year Research-status Report
発話を促す実用的スピーキングテストの開発とピア評価システムの確立
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23520744
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平井 明代 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00312786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 俊英 白鴎大学, 教育学部, 講師 (90580861)
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Keywords | スピーキングテスト / ストーリーリテリング / 併存的妥当性 / 合成音声ソフト / SRST |
Research Abstract |
平成24年度は、教室で生徒や教員が気軽に使えるスピーキングテストの開発に向けて、次の2点を研究した。 第1点目は、前年度に引き続き、スピーキングのストーリー・リテリング(SRST)に使用するリスニング用テキストの作成に向けて、テキストをスピーチ化するために合成音声ソフトを利用することができるかを検討した。合成音声と自然音声を音源に使用したテキストを聞かせ、ディクテーション課題を課した。その後、ディクテーションの再生率が異なる単語を比較し、音源の使用可能性について検討した。合成音声の場合、自然音声より機能語までも規則的に発話されており、その部分の再生率はよく、レベルの低い学習者にも使用できるものであることが確認できた。また、最初の聞き取り訓練に使用する場合にも利用できることがわかった。 第2点目の研究は、SRSTとVersant (Pearson Education, 2008) とStandard Speaking Test (SST; ALC Press, 2010) の3つのスピーキングテストと比較することで 、SRSTの得点に基づく解釈の妥当性を吟味した。まず、64名の受験者に3つのテストを受けてもらい、テストの共通点と相違点を調べるために、その言語機能と得点、発話を分析した。その結果、SRSTはVersantよりは多いがSSTよりは少ない言語機能を引き出すこと、SRSTは他の2つのテストと中程度の相関を持ち、初級者・中級者グループで弁別力を発揮すること、(a)タスクと言語機能と(b)評価時に重きを置く要素の相違により、テスト得点の違いが説明されうることが分かった。結果に基づき、評価の目的と状況に沿って適切なスピーキングテストを選ぶ際に有益となる、各テストの相対的な利点を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストーリー・リテリング課題のストーリーを読ませる場合と聞かせる場合とのリテリング・パフォーマンスを比較する予定であったが、まだその部分の比較分析が進められていないので、今年度実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、次の2つの研究を行う予定である。 1つは、リスニングに使用するテキストを別の有料読み上げソフト(Globalvoice English)で代用することができるか、ネイティブ・スピーカーによる読み上げスピーチと比較し、単語レベル、機能語か内容語かなどによって分類し、それぞれのスピーチの特徴を明らかにした上で、SRST(Story Retelling Speaking Test)のリスニングテキストの作成に利用可能化を検討する。Globalvoice Englishは、現時点で調査した中で最も優れた機能を持ち、今年度はさらに改良され、アメリカ人男女の声の変換だけでなく、イギリス人の声の変換も出来るようになり、バラエティに富んだ会話文のスピーチテキスト作りも可能となった。よって、このソフトを利用して、さまざまなリスニング用テキストを作成する。 2つめの研究は、中上級者用スピーキングテストと評価法の開発をするため、リスニングからスピーキングにできるストーリーを、先行研究でリーディング用に作成したストーリーでも使用することができ、かつそれで難易度を上げられるかを検討する。 1.リーディングで使った4種類のストーリーをリスニング用にするためにGlobalvoice Englishというソフトを使って音声化する。2.授業でSRSTを実施し、その発話を以前調査したリーディングの発話と比較する。3.データを分析し、中上級用として使用できるか検討する。4.結果を論文にまとめ、発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は予定をしていた比較分析が進まず、それに関連する謝金及びリスニングテキスト用音声分析ソフト購入予定であった計37万円が未使用になってしまった。平成25年度は、当初予定した音声ソフトの新バージョンが発売されたため、それを購入をする予定である。また、25年度は、当該年度の研究費と合わせて、アンケート分析ソフト及び謝金や学会での成果発表に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)