2013 Fiscal Year Research-status Report
発話を促す実用的スピーキングテストの開発とピア評価システムの確立
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23520744
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平井 明代 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00312786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 俊英 白鴎大学, 教育学部, 講師 (90580861)
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Keywords | スピーキングテスト / ストーリーリテリング / classroom assessment / SRST / 評価尺度 |
Research Abstract |
平成25年度は、ストーリー・リテリング・スピーキング・テスト (Story Retelling Speaking Test: SRST)とその評価尺度の開発に向けて、次の3点を研究した。 第1点目は、SRSTのストーリー提示をリーディングさせるかリスニングさせるかによって、その後のリテリングの量と質がどのように異なるかを検証した。この結果、リスニングにすると量・質とも若干劣り、英語力のない学習者ほどリスニングで行うことは難しいタスクになることがわかった。よって、新しい学習項目を学ぶ必要のある中高生には、その項目に下線を引いて提示することができるリーディングの方が好ましいと推測した。 第2点目は、実用的なスピーチ用評価尺度であるEBB尺度(an Empirically derived, Binary-choice, Boundary-definition (EBB) scale)の改良版を完成させ、その成果を論文し公表した。しかし、中高生の授業使用に合わない部分があることがわかり、さらにつけやすいリスト形式の評価尺度を作成した。この評価リストの中にターゲット文法や表現が使用できたかを評価できるようにした。そして、55名の高校生にリーディングによるSRSTを実施し、その後ピア評価をさせ、十分活用できることを確認した。 最後に、成果発表に向けて、SRSTがインプットからアウトプット活動として如何に効果があるか、またその後の評価を如何に教室で行うことができるかについて、これまで集めた資料および書籍を整理し、第二言語習得理論に沿って、如何に効果的な流れになっているかをモデル化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SRSTの教材を作りに当たり、(1)さまざまな難易度、(2)短くまとまったストーリー性のあるテキスト、(3)ターゲット文法や表現が入っているテキスト の条件を含むバラエティに富んだテキストを揃える必要がある。時間を要する作業のため、今年度も引き続き作業する必要がでてきた。 当初の計画にはなかったEBB尺度以外で、新たに中高生向けにターゲット学習項目も評価できるSRSTと評価尺度(リスト形式)が必要であることがわかり、その妥当性および信頼性を検証する必要が出てきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、次の3点のことを行っていく予定である。 第1に、高校生向けに作成した評価リストの信頼性および妥当性について、アンケート調査を実施する。1部アンケートはすでに実施しており、今年度に分析を行う予定である。また、信頼性に関しては、生徒評価と教師評価を行ったので、それを比較し評価者間信頼性および内的信頼性を算出して示す予定である。 第2に、高校生を対象にしたSRSTにするためには、さまざまな文法項目を含んだテキストを用意する必要がある。学習文法事項がストーリー1つにつき、1つか2つ入ったもので、最終的にすべての学習文法が入ったスト―リーをそろえたいと考えている。学習指導要領や高校生の教科書で扱われている文法項目を参考にリテリング用テキストを研究協力者と共に作成していく予定である。 第3に、SRSTは単なるテキストのリテリングではなく、その後に意見を述べることになっているが、この意見を述べる部分をペアで行う際にインタラクティブにできないかを研究していく。日本人は、自分の意見などを一人できちんと述べるなどのモノローグだけでなく、同じトピックでインタラクションを長く続けていく訓練をする必要がある。この点についても、SRSTで取り入れて評価できるかを検証していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SRSTの教材を作りに当たり、(1)さまざまな難易度、(2)短くまとまったストーリー性のあるテキスト、(3)ターゲット文法や表現が入っているテキストの条件を含むバラエティに富んだテキストを揃える必要があるが、まだまだ不足しており、研究協力者を募り、短期雇用で使用する予定の予算を使い切ることができなかった。 当初の計画にはなかったEBB尺度以外で、新たに中高生向けにターゲット学習項目も評価できる評価尺度(リスト形式)が必要になり、その妥当性および信頼性を検証する必要が出てきたため。 分析に必要なXPであったPCの購入及びソフトの更新費用、上記に示した教材作りにあたっての研究協力者への謝金、研究成果発表における旅費、新たに加わった研究部分などに関する書籍および資料購入費用に充てるつもりである。
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Research Products
(8 results)