2012 Fiscal Year Research-status Report
英語の前置詞の棲み分け研究と高大連携に基づく自学自習用教材の作成
Project/Area Number |
23520745
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
花崎 一夫 信州大学, 全学教育機構, 准教授 (40319009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花崎 美紀 信州大学, 人文学部, 准教授 (80345727)
加藤 鉱三 信州大学, 高等教育研究センター, 教授 (20169501)
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Keywords | 前置詞 / 認知言語学 / 英語教育 / 意味論 |
Research Abstract |
我々は、本研究に取り組む以前は、前置詞の多義を従来の意味論でしばしば行われるように、semasiologicalな視点で研究してきた。しかし、その一連の研究で、従来のメタファー・メトニミーによって意味拡張を説明しようとする理論は、(1)意味が際限なく広がることを阻止することはできず、(2)新しい意味の予測が不可能であることがわかった。そこで、意味拡張は、複数の可能性が緊張関係の中に存在した後、それぞれの語の弁別的意味要素により取捨選択されることを通して行われるという見解、つまり、pragmatic strengtheningを中心とした行為理論によって意味「用法」の拡張の可能性を探り、さらに、onomasiologicalな視点(例:果実を表す語にはfruit, nutなどがあるする視点)にたち、近似義語の中心義が意味拡張を制限するという立場をとれば、上述の問題は解決されることに気がついた。さらに、その緊張関係の中で、意味拡張の可能性を阻止されたものは、慣用表現としてのみ存在しうるということがわかり、この考えのもとに前置詞の棲み分け研究を行い、一定の成果をあげてきた。 具体的には平成24年度の研究においては、英語の前置詞のうち、主にtoとforについて研究を行い、特にtoの研究においては、人口に膾炙している英和辞典の意味記述が、英語学習者にとって非常に不親切なものである点に着目した。そしてその代案として、第2言語として英語を学習する者にとって役に立つようなtoの意味論の構築を目指し、ある程度の成功を収め、その結果を学会などで発表した。また、我々の大学の授業における英語教育においても、この研究成果を反映させた授業展開を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、認知言語学の知見を援用し、大学生の自学自習用教材を作成し、それを実際の英語教育の現場で活用するというものであるが、当初計画で示した前置詞に関する研究やそれに関連した教材の作成、およびその活用が実行できているため、「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1段階としてsemasiologicalな研究を行い、高大連携から得られる間違いやすい前置詞を参考にしながら、1語の現代英語における 用法を整理しそこから仮の意味ネットワークを作成しそれを古い英語における用法を整理して補強する。 第2段階として、onomasiologicalな研究を行い、関連する語を、孤立用法・慣用表現を元に検証し、対象前置詞の棲み分けを明らか にする。 対象前置詞は、すべての前置詞を扱うことを目標とするが、25年度は、at, beside, in front ofなどついての研究をすすめ、教材の作成を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度、当初計画で見込んでいたよりも安価に研究が完了したために予算に残額が生じた。これは研究の進捗状況を考慮し、25年度にも海外調査を実施することを見込んでのことである。従って、25年度に海外調査などを適切に実施することによって、適正な予算消化に努めたい。その他にも、必要な文献などの購入については、必要があるごとに随時行う予定である。
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Research Products
(7 results)