2011 Fiscal Year Research-status Report
小学校外国語教育における日本のEFLとオーストラリアのJFLの比較研究
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23520750
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
LINGLEY DARREN 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (50335915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
M. OTLOWSKI 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 講師 (90448390)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Primary school EFL |
Research Abstract |
本研究の初年度においては、研究代表者と研究分担者が豪州を2度訪問した。現地小学校3校で、外国語としての日本語(JFL)を学ぶ授業をデータ収集目的で参観し、教師に面接調査を実施した。本研究の基盤となる小学校教師の相互訪問を目的として、ホバート周辺とゴールドコーストにおいて、この調査に協力する教師、学校長及び教育省の職員と打ち合わせを行った。 8月には研究分担者1名が豪州を訪れ、メルボルン周辺の小学校のJFL教師5名に面接調査及び JFLの授業観察を行った。調査のテーマは、言語教材・教科書の使用実態、母語話者助手の雇用、教授法、評価、学習指導要領、現職教師の教育・研修である。本研究では、日豪両国の小学校の言語教育において同一の状況での比較をしていることから、 高知県の小学校でも日本人英語教師に対し面接調査を同じテーマで行なった。 9月には日本における英語教育の調査のため、豪州の協力校からJFL教師1名が高知を訪れ、相互の教師訪問の第1回目が行われた。この教師は小学校1校をベース校とし、その他に2校を訪問した。滞在中は各校において、複数の学年及び異なる教育環境で実施されている4授業(母語話者助手とのチーム・ティーチング授業や日本人の担任が一人で教える授業)を観察し、調査ノートを及び振り返り記録を作成した。その後に、追加の面接調査を、観察結果と調査ノートに基づいて行なった。 また、 現地小学校の日本語教育アシスタント研修プログラム(JATS)に参画する日本人及び現地の関係者に対して研究分担者が調査を行い、小学生のJFL学習者に教える日本人ボランティアの教師助手についての課題を検討するため、 定性データを面接調査によって収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度の調査計画においては、アンケート調査の実施が含まれており、日豪両国での外国語教育組織における意識と態度を測定する内容で、 調査用紙をJFLに関係するタスマニア州の小学校教師全員に配布した。しかしながら、回収数が十分ではなかったため、次年度においても、アンケート調査を 豪州の他地域で継続する。また、調査用紙は日本語にも翻訳済であり、日本で英語授業を担当する日本人小学校教師への配布を行う予定である。教師への面接調査は現在も進行中で、次年度においても継続する。これまでの研究成果を通じて、教師の意識・態度を比較するためのデータとして意義があり、日豪両国において各教師が持つ学習達成度についての評価の認識に関して、それぞれにかなりの幅があることが実証された。日豪両国の教師に対する調査から得られたデータについては、 予備調査結果として公表する予定である。 当初の予定では研究対象の地域をタスマニア州に特定していたが、同州で研究パートナーであった 教師1名が他の州に異動し、また、他にも数名、研究関係がまだ築かれていない学校へ異動したことから、 その範囲を他州に広げることが必要となった。そのため、同州の学校に加えてビクトリア州とクィーンズランド州において新たな相互関係を確立し、データを収集した。その点では初年度に予期した以上の成果が得られた。 2011年6月、最初の訪問調査中にチリのプジェウエ火山の噴火により豪州全土で航空交通が遮断されたため、研究計画の進行は少し遅れたものの、1年目に計画した研究をほぼ達成することができた。3ヶ年の調査計画の中で、2年目の開始前に教師間の相互訪問6回のうちの1回を終えたことで、予定より少し進んだ進捗状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目は、3度の相互訪問での資料収集が主である。本年度は日本人教師2名がクィーンズランド州とタスマニア州の学校訪問を実施する。また、9月には豪州より教師1名が日本(高知)を訪問する。相互訪問をする教師は全員、詳細な実地調査記録をとり、振り返り記録を作成し、その後に、これらの教師に対して、交換訪問の体験に関する面接調査を実施する。3年目も参加教師への面接調査と授業観察を継続する。2012年度においては、クィーンズランド州と南オーストラリア州においてもJFL授業観察を行う。2年目は教師の意識・態度についてのアンケート調査を日本でも実施し、分析結果を豪州の教師に対する調査結果と比較する。これらのデータに加えて、使用した調査及びその方法に対して、心理測定法を通じた包括的な分析を行い、十分に検証した上で、新しい独自の調査手法として発表することを目指している。また、日豪両国の公式の教育課程やシラバスの比較のためのデータを収集し、特に言語教育に関する新教育課程に注目して調査を行う。これらに加えて、異文化理解に関し、外国語教育で使用される教材と教授法の比較調査も行う。異文化理解は、両国の外国語教育政策の計画目標において公式なテーマとして指定されているが、具体的な説明や指針を欠いている。小学校段階の言語教育を補強するために、異文化に関するテーマを効果的に教授する方法を教師が見出すことが求められており、その支援となる研究が必要とされている。 2012年7月には研究代表者がTESOL国際会議の豪州審議会で、本研究に関連した成果を発表する予定である(発表題目:小学校外国語教育: JFL/EFLの鏡環境における比較研究)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の計画に基づく経費執行について、4月に支払いすべき経費が残っているため、次年度使用額が多く存在するように見えるが、実際には、264円以外は執行予定である。そのため、次年度の研究は、当初の計画通り進める予定である。
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Research Products
(1 results)