2012 Fiscal Year Research-status Report
小学校外国語教育における日本のEFLとオーストラリアのJFLの比較研究
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23520750
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
LINGLEY DARREN 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (50335915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
M. OTLOWSKI 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 講師 (90448390)
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Keywords | Primary school EFL |
Research Abstract |
本研究2年目においては、研究代表者はオーストラリアの国際会議で本研究初年度の研究結果を発表した。日豪協力校間の相互教師訪問から得た最初の調査研究結果を概説し、草の根の相互訪問が、言語教育のカリキュラム をどのような形で増強することができるかに関して主に議論が行われた。初年度収集の面接データに関しては、 全国語学教育学会(JALT)2012年次国際大会(静岡県浜松市) で発表した。データに基づき比較を行い、主に日豪両国の外国語教育における同一状況を検討することで得られる知見に関して研究成果が議論された。面接データの結果から、日豪両国それぞれのカリキュラム目標に関して、きちんとした学習評価がどのようにして達成されるのかという点で、教師は広範囲に及ぶ評価概念を有していることが明らかになった。 相互教師訪問の第2段階は2012年の夏に行われた。高知の日本人教師2名がクイーンズランドとタスマニアの小学校を訪問した。両者とも、授業参観後に振り返り日誌 の形でフィールド記録 をつけ、記録の内容に基づいて両者に対して面接調査を行った 。また、8月には、 二人目のオーストラリア人の小学校教師が高知を訪問した。この教師は小学校1校をベース校とし、1週間の滞在中、その他に2校を訪問した。滞在中は各校において、複数の学年及び異なる教育環境で実施されている授業(母語話者助手とのチーム・ティーチング授業や日本人の担任が一人で教える授業)を1日4授業ずつ観察し、 調査ノートを及び振り返り日誌 を作成した。その後に、追加の面接調査を、観察結果と調査ノートに基づいて行なった。 最後に、2012年11月、授業観察およびデータ収集、研究3年目の相互訪問最終段階の準備という目的で、研究代表者がタスマニアの小学校を訪問した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は面接と授業観察に関する質的データの収集と、比較対象となる日豪両国の文脈での外国語教育における諸側面に関するアンケート調査から量的データを収集する事を含んでいた。これまでに得られた質的データはよい結果を生んでいるが、基本的な量的研究基準を満たすために、さらにアンケート調査の範囲を広げている。質的目的に関するデータはまだ比較的少なく、一般化を行なうためには、オーストラリアの状況に関する更なるデータが必要である。量的データの収集は、それゆえ、計画の3年度まで継続される。日本版アンケート調査は、EFL教育担当の小学校教師に拡張しているので、十分なデータを得ることはずっと容易である。 研究協力者のまとめた貴重な面接データは、国際会議で発表された。これまでの発見は、両国の教師がそれぞれさまざまな評価概念を示し、両国の公的カリキュラムで述べられた目標の達成可能性に関して意見が異なるため、教師の態度比較の観点に基づく質的データの豊かさを示している。データは、日豪の小学校教師間で、教師の自信に関して注目すべき差がある事を示している。 教師の相互訪問と面接の第2段階は、予定通り進行した。第3年度に実施する相互訪問はあるものの、予備的な発見は、日豪教師との面接より得られた比較データに基づいて、オーストラリアにおける国際会議で公表された。日豪両国の訪問教師は、同一状況における観察が自分たちの言語教育観に及ぼす影響に気づいてはいるが、一方の状況でうまくいく教授法/教材がもう一方ではうまくいかない場合があることに不満を表明している。振り返り日誌と追跡面接は有効なデータをもたらしたが、日本の参加教師が、時に指導要領の内容からの逸脱を控える事は注目に値する。このような国際研究と交流計画の事項に伴う、もう一つの困難は、参加者が、研究目的より教室での実際の必要性に焦点を当てる傾向にある。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度の本研究最終段階は、残る二つの相互訪問からのデータ収集を主とする。計画通り、1名の日本人小学校教師が、小学校におけるJFL教育観察のため、2013年夏にタスマニアの学校を訪問し、1名のオーストラリア人教師が、EFL授業観察ため、同年9月に高知を訪問する。これらの相互訪問に参加する教師は詳細なフィールドノートを取り、自己の経験についての振り返り日誌をつける。その後、各教師は事後インタビューに参加する。相互訪問と面接のデータ(日豪各国から3回ずつ、計6回の訪問)がそろえば、結果を報告する。 本研究の第3年度は、教師の態度に関する日豪両国のアンケート調査から得られるデータの配布・収集・分析を含み、調査結果は比較・報告され、参加教師の面接と、授業観察を継続する。さらなるJFL授業観察とデータ収集のため、メルボルン、アデレード、タスマニアへの2013年の調査訪問が計画されている。最終年度には、現在言語教育に関する新しい国家的カリキュラムを実施しているオーストラリアに特に注意を向けつつ、両国の公的カリキュラムとシラバス関連資料の比較にさらなる焦点を当てる。 本研究最終年度では、FL教育における異文化理解に関わるテーマの統合のために使用される素材と教授法の比較調査も継続する。これは、両国の公的FL教育政策において述べられている目標であるが、この目標は具体的な記述と指針を欠く。教師が初等教育段階の言語教育を補強するため、異文化に関するテーマを組み込む方法を見出せるよう援助するには、さらなる研究が必要である。 研究代表者は、本計画の研究成果を2013年10月のアジアTEFL会議で発表する予定である(発表タイトル:振り返り日誌-小学校JFL/EFL相互訪問の事後研究-)。この発表では教師のフィールドノートと相互訪問の最初の2年間に実施された追跡面接から得られた主な発見について概略を述べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)