2012 Fiscal Year Research-status Report
早期英語から中学校英語への架け橋:文字教育を取り入れた指導法と教材モデル開発研究
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23520758
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
小野 尚美 成蹊大学, 文学部, 教授 (10259111)
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Keywords | RRプログラム, カナダ(トロント) |
Research Abstract |
平成24年4月から8月までは、9月から始める実験授業のための準備と、Reading Recovery プログラムについての勉強を継続して行った。具体的には6月にWashington, D.Cで開催されたReading Recoveryプログラムで教えているRR教員やRR教員リーダー、RRトレーナーのための学会に参加した。Reading Recovery関係の人々に会い、話を聞くことができたため、Reading Recoveryについての理解が深まった。 平成24年9月から平成25年3月まで、実際に杉並区立桃井第三小学校で英語の講師をしている土屋佳雅里氏の経営する英会話教室に通っている同小学校の5年生11人と6年生3人に、この研究の一環として開発したReading Recovery の考え方に沿った指導案をもとに文字教育を取り入れた英語の授業を行った。Washingtonで購入してきた教材を使い、週に1回60分授業で教えた。基本的な構成は、1)挨拶、2)音韻理解のためのフォニックス指導、3)テキストを読む、4)構文理解のためのcut-up sentences活動、5)ライティング活動という流れになっている。3月にそれまで読んだテキストを範囲とした小テストを行った。このテストの結果から、実際はテキストを読むことができていても、内容を実は暗記していて、文字を正確に理解し、綴りも書けることができるというレベルまでは達していなかったことが分かった。 また、平成24年9月末から10日間、カナダ(オンタリオ州トロント)へ出張し、Reading RecoveryプログラムのためのRR教員研修とRR教員リーダーになるための研修を参観し、さらにReading Recoveryの基本理念、指導方針の理解が深まった。カナダ研修の成果については、成蹊大学文学部紀要に報告書を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年6月に、Washington,D.C.で開催されたReading Recovery教員やReading Recovery教員リーダー、Reading Recoveryトレーナーのための学会に参加し、関係者と意見交換を行い、講演を聞くことができたことは大変意義深かった。 また、9月末から10日間カナダのオンタリオ州トロントにあるReading Recovery プログラムを管轄している本部を訪ね、Reading Recovery教員のための研修だけでなく、Reading Recovery教員リーダーになるための研修の参観をすることができた。平成23年にもオーストラリア・ニュージーランドへ研修に行ったが、今回のカナダ研修参加によって、Reading Recoveryの指導方針であるRoaming around the knownについて理解を深めることができた。また、このカナダ研修では、Reading Recovery教員リーダーになるための研修を参観することができ、その研修生とも意見交換することができた。この研修参観は初めてで、児童の指導や児童の父兄と協力してどのように児童の読み書き能力回復を手助けするのかについての理解が深まった。このカナダ研修についての報告は、成蹊大学文学部紀要(平成25年3月に出版)に掲載した。 さらに平成24年9月から平成25年3月までの実験授業で、Reading Recoveryの指導方針に基づいた日本の小学生のための英語の授業を実践することができた。この度は、杉並区立桃井第三小学校で英語を教えている土屋佳雅里氏の英会話教室で、パイロット研究授業を行ったのだが、5年生11人、6年生3人に参加をしていただき、指導方法の形を作ることができた。教材の選択、指導手順、語彙指導方法、音韻認識指導方法などへ重要な示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年4月から7月、9月から12月、平成26年1月から3月と3学期にわたり、昨年から引き続き区立小学校で英語を勉強している6年生の児童へ、本研究で思案したReading Recoveryプログラムの指導方法に基づく指導方法を使って英語の授業を行う予定である。この6年生は、昨年からこの実験授業に参加しており、この指導方法の5学期分の効果を見ることができる。平成25年3月に2学期分の授業の成果を測定するために語彙テストを行った結果分析から、この2学期分の授業の復習をしながら、新しい教材を読んでいくことが必要であることが分かったため、復習を取り入れた指導案を作成し、平成25年4月からの授業に臨んでいる。今年の1学期が終わった時点で、3月に行った語彙テストをもう一度行い、知識の定着度を測ることにする。 昨年、公立小学校5年生と6年生を対象に「音声と意味」「文字と音声」「文字と意味」の3つの方向から語彙の知識を測定したテストの分析結果を、学会で発表し、論文にまとめる予定である。 今年は本研究3年目の年にあたり、平成24年9月から行っている実験授業の指導案、指導方法、教材の効果について精査に分析し、昨年行った語彙テスト、実験授業の成果を見るための語彙テストの結果を踏まえながら、小学校での英語の授業に応用する指導案、指導方法、教材を提示するために、研究結果を報告書にまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の予定としては、まず1)Reading Recovery プログラムについての書籍の購入をする。2)平成25年4月以降の実験授業のための教材を購入し、実験授業をしてくださる教員への謝礼を支払う。3)平成23年からの研究の報告書を作成する。4)研究の一部を学会発表するために、学会に参加する。
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