2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520761
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Research Institution | Musashino Academia Musicae |
Principal Investigator |
篠塚 勝正 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (40528775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 三喜夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60259182)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳内言語処理 / ワーキングメモリ / 通訳・翻訳 / 日本語言語処理 |
Research Abstract |
23年度の研究課題は、通訳訓練法を脳イメージング器機を使用し脳の賦活度合などを母語、英語との比較と差異から、脳科学的な示唆を出すのが目的であった。しかし、NIRSのみではなく、タスク遂行時の脈、酸素飽度合などを同時測定する器具納入が予定時期よりも遅れ(24年度3月末)で、実際に被験者を使って上記の実験が未だ終了していない。 通訳、翻訳は、言語変換した訳出が、聴衆者、読者にとって、脳に負荷の掛かるものでは、良い通訳、翻訳ではないのは明白である。 そこで、上記の器具の納入遅延の間、翻訳の漢字、ひらがな、カタカナの3つの文字体系を持つ特徴的な日本語の認知的な意味理解難易度を計測するために24年度1月に大学生41名を被験者にし、行動実験を行った。実験の刺激語は、四字熟語、複合語でmean:4.9~5.08及びSD:0.37~0.5である。親密度合の難易度に差はなく、8シラブルに合わせた。例えば、社会問題、じんこうこきゅう、イジョウキショウの各々をcall教室のパソコン画面に各々3種の文字体系15個を2秒間提示した。その結果は、漢字表記は全員が易(100%)、ひらがなが中(32%)、カタカナが難(68%)という結果が得られた。この結果の脳内言語処理の認知的を探索した。 視覚入力された文字が意味理解に至るには、1.視覚入力されたものが、音声表象(頭の中で音声化する)を通り、意味表象(理解)に至るルートと2.直接、意味表象に至るルートの2つがあると考えられる。音韻表象化させるルートは、その分意味理解に時間が掛かるが故、特にカタカナ表記の意味理解が難しいと考えられる。つまり、漢字は意味表象に直接アクセスされると考えられる。新しい脳器具の納入遅延により、翻訳(日本語の特性)に関しても探究する機会が得られた。今年度は、言語変換時及び日本語の脳内言語処理も同時に測定していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
購入予定であった脳器具の納入が、遅れたため行動実験のみに留まり、実際の脳器具での実験は、5月以降になる。従って、当初計画より若干の遅れが生じた。しかし、今後は納入器具を使用し、実験は順調に進むものを考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、23年度末に納入された脳器具を使用し、大学を被験者とし、問題なく研究遂行が可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究最終年度である次年度には、脳器具を使用し、予定通りの結果を出す予定である。つまり、購入した器具を使用し、言語変換時などの脳の賦活(特にワーキングメモリ)状態のみならず、脳内におけるタスク(刺激)に対する、脈、酸素飽度合などを同時測定する画期的な器具で計測を行い、最終的な実験結果を国際論文に投稿し、研究結果を広く開示する予定である。 この様々なタスク遂行時の脳反応、人体の反応を同時測定する過去に前例のない実験、研究であり、世の中に大きくアピールできると確信する。
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