2012 Fiscal Year Research-status Report
外国語学習者の動機づけを高める実践―協同学習を用いて―
Project/Area Number |
23520763
|
Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
阿川 敏恵 恵泉女学園大学, 人文学部, 助教 (90409805)
|
Keywords | 動機づけ / 外国語(英語)学習 / SDT理論 / 協働・協同学習 |
Research Abstract |
1) 協働・協同学習の定義づけを行い、Self-Determination Theory(SDT)と協働・協同学習の理論的親和性を主張する論文を2013年2月に発表した(恵泉女学園大学紀要)。定義づけのあいまいな協働・協同学習を定義することは、本研究のためのみならず、協働・協同学習に携わる教育者、研究者にとって重要なことである。また、SDTと協働・協同学習の関連を示し、協働・協同学習によって、英語学習者の動機づけが高まるであろう理論的主張をおこなうことは、本研究の土台となる部分であり、研究を次の段階に進める上で大変重要なことであるため、これらの段階が今年度の研究でクリアできたことは、大きな研究成果といえよう。 2) 1)の論文で主張した内容に基づき、協働・協同学習をSDTの枠組みの中で使用する具体的教育介入のデザインを、2012年6月に学会(JALT 大宮大会)にて発表、提案した。 3) 2)の内容に基づき、昨年度から既におこなっている、協働・協同学習を用いた教育介入実践を継続し、質問紙を用いて実証データの収集をおこなった。十分なデータが集まったところで、分析を行う予定である。 4) 3)の教育介入を行うにつれ、理論的な主張と、日本における実際に齟齬があるのではないかとの疑問をいだくようになった。そこで日本人大学生の動機づけが、SDTに沿っているかどうかの再確認をおこなうため、大学生の英語学習者に対して廣森(2006)の質問紙調査をおこなうこととし、この部分の研究デザインを考案、検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究をすすめるにつれ、海外の研究者(Deci & Ryan, 2002他)で提案され、広く認知されているSelf-Determination Theory (SDT)が、日本の社会文化的文脈のなかで、どの程度マッチしているかに疑問をいだくようになった。そこで、研究デザインの一部を変更して、日本人大学生の英語学習に対する動機づけの構造が、SDTの枠組みの中でどの程度説明できるかについて確認をおこない、そのうえで大学生英語学習者の動機づけを高める教育介入を続けてゆきたいと考えている。 上記のような理由から、当初は予定していなかった方向の研究を加えることとなり、教育介入による動機づけ変化の調査の分析は予定よりやや遅れている。しかしながら、日本のEFL環境におけるSDTのverifyは、多くの人に興味深いテーマであることを確信しており、その研究結果を発表することに意欲を持って取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1) 日本のEFL環境におけるSDTの検証をおこない、その結果を学会発表したり、論文にまとめて発表する。 2) 1) の結果を踏まえて、協働・協同学習を用いた教育介入をおこない、英語学習者の動機づけ変化を質問紙で測定し、学会発表したり、論文にまとめて発表する。 3) 2)に付随し、どのような教育介入をおこなえば、日本人英語学習者の動機づけを高めることができるのかについて、理論に基づいた提案をおこない、それを論文にまとめて発表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「今後の研究の推進方策」のうち、1)と3)については学会発表を行ったり、論文にまとめる。また、2)については、データ収集をすすめる。すなわち、 ・日本のEFL環境におけるSDTの検証をおこない、その結果を学会発表したり、論文にまとめる。 ・どのような教育介入をおこなえば、日本人英語学習者の動機づけを高めることができるのかについて、理論に基づいた提案をおこない、それを論文にまとめる。 ・協働・協同学習を用いた教育介入をおこない、英語学習者の動機づけ変化を質問紙で測定する。 の3点に取り組む予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
-
[Book] 開拓社2013
Author(s)
JACET SLA研究会
Total Pages
385
Publisher
第二言語習得と英語科教育法