2013 Fiscal Year Research-status Report
コーパスを活用したフレイジオロジーに基づく英語指導法の開発と検証
Project/Area Number |
23520776
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
梅咲 敦子 関西学院大学, 商学部, 教授 (20269963)
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Keywords | コーパス / フレイジオロジー / ESP / コロケーション / 類義語 / 誤用分析 |
Research Abstract |
本研究では、究極の目標として「コーパスと辞書で自立して楽しく英語が使えるようになる」ことを設定し、個別目標に、(1)コーパスを利用した英語研究のための指導法と教材の開発と、(2)フレイジオロジーに基づく英語教育の推進を揚げている。(1)を達成するために、(1a) ESP: 学術論文作成へのコーパス利用と(1b) EGP: 大学英語教育一般へのコーパスの導入についての研究と実践を行ってきた。 本年度は、(2)の一環として、自作コーパスCEAP(Corpus of English Academic Papers: 学術誌掲載英語論文約1億語)における4語連鎖をソフトウェアn-gram makerを用いて抽出し、文学・歴史系、経済・経営系、社会学系、自然科学系の定型表現リストを作成した。その結果、前置詞句の多用が見られた。その中から、as a function ofの使用をとらえ、一般に学術論文に想定される「~の関数・機能・産物として」(捉える)以外に「~に呼応して・~次第で・~によって・~ごとに」(変わる)を表す句としても多用されていることを指摘した。また、受動表現にも着目し、it should be noted thatの多用にも着目し、it must be noted thatとの機能的相違を、用例から質的に指摘した。 さらに(1a)の一環として、コーパスCOLP(the Corpus of Learner Papers: 大学院生の修士論文,リサーチペーパーとその英文校閲済版)におけるn-gramをCEAPと比較した結果、日本語母語話者の英語論文におけるit can be said thatの多用を指摘した。 また、特に受動形を取り上げ、ディスコースやレジスターと言語算出との関わりを研究する必要性についても論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収集、分析と教育面での実践を行い、学会発表は行ってきたが、コーパスを英語教育に活かすための指導書(教材)作成のための授業実践による検証作業が未完了で、指導書にまとめる作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
海外での国際会議の発表を行うとともに、コーパスを英語教育に活かすための指導書の刊行を行う。自作1億語強の英語論文コーパス(CEAP)と大学院生のリサーチペーパー(修士論文)における英語の誤用や英語使用の特徴の分析を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、初年度からひき続き、独自編纂の約1億語の論文コーパスをフレイジオロジーの観点から分析し、院生修士論文の英語誤用データの収集・分析を進め、汎用コーパスを生かした英語教育指導書作成を行い、その分析結果を国際会議において口頭発表する予定であったが、英語教育指導書作成を次年度の授業での使用成果をふまえたうえで修正・完成させることが必要になったため、未使用額が生じた。 このため、英語教育用指導書(教材)の検証・修正と分析結果の国際会議での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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