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2012 Fiscal Year Research-status Report

古代・中世の朝鮮半島における貨幣流通の様相と東アジア世界

Research Project

Project/Area Number 23520786
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

三上 喜孝  山形大学, 人文学部, 准教授 (10331290)

Keywords朝鮮三国時代 / 高麗 / 貨幣流通 / 東アジア世界
Research Abstract

本研究の目的は、古代・中世の朝鮮半島における貨幣流通の実態を、文献史料や考古資料などの調査・検討を通じて明らかにすることを目的としている。とりわけ本研究で特色的な点は、「モノ」としての貨幣に注目する、という点であった。
2年目にあたる平成24年度においては、昨年度に引き続き、韓国における文献史料や研究文献の収集や考古資料、さらには金石文資料にみえる経済関係などの資料に注目し、石碑の現地調査や、拓本による実見調査などを行い、「モノ」としての貨幣の周辺にある、さまざまな歴史資料を対象に調査・検討することを課題とした。また、国内外の古代朝鮮史研究者との情報交換を行い、研究の現状における、本研究の立ち位置を、確認することができた。なかでも、韓国・城山山城出土古代木簡の実見調査や、同じく韓国の高麗時代の沈没船から出土した木簡を実見調査することができ、古代の三国時代から中世の高麗時代にかけた、幅広い経済史関係の文字資料に触れることができた。
これまでの研究では、文研史学の分野からは、文献史料にみえる貨幣発行といった制度史的な検討、また、考古学の分野からは、特定の関心(たとえば、高麗時代の墓から出土する銭貨)による資料集成がおこなわれてきたが、これらを総体としてとらえようとする研究は、まだ進んでいないということが明らかになった。その点においても、本研究がめざすところは、十分に意義のあることであり、今後もこの方向性で進めていくことが重要であることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、朝鮮半島の古代・中世における貨幣流通の実態を文献史料、考古資料の両面から総体としてとらえるということであり、2年目は初年度に引き続き、そのための基礎資料の収集に加え、周辺資料の収集とその読解作業というものであったが、当初の目的は、おおむね順調に進展しているといえる。
具体的には、三国時代の物資輸送の実態を表す、城山山城出土の6世紀代の木簡の統一新羅時代の土地支配の実態を表す金石文資料の実見調査、高麗時代の沈没船から出土した、物資につけられていた荷札木簡など、古代から中世にわたる、朝鮮半島の経済史関係の文字資料の実見調査を行い、「モノ」に即した物資流通の実態の検討を行うことができた。
こうした意味において、2年目の研究も、おおむね順調に進展していると評価することができる。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度における研究を通じて、貨幣流通のみならず、その周辺の流通経済に関する文字資料(木簡や金石文)の調査・研究を行った。これは、文献記録では限られた形でしか残っていない貨幣流通の政策や実態を探る上で、有効な資料群であると考えられる。とりわけ、古代・中世の東アジア世界にあっては、銭貨のみならず物品貨幣も、貨幣流通史を考える上では必要不可欠な対象である。今後も引き続きこれらの文字資料群の調査・検討を通じて、これら物品貨幣の流通の実態についても検討を行うつもりである。合わせて、初年度以来継続している出土銭貨(中国戦、高麗銭)の調査についても、引き続き行っていきたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1.韓国内における資料調査・遺跡踏査を複数回にわたり行う。
前年度の引き続き、韓国内の諸機関において、資料調査を実施する。貨幣資料の調査を行うことはもちろんだが、流通経済史に関わる文字資料(木簡や金石文)についても、前年度と同様に、実見調査を行うつもりである。
2.引き続き、日本国内における遺跡出土の高麗銭の資料収集ならびに調査を行う。
日本では、わずかながら高麗銭が伝わっている例があるが、前年度の調査では、なお未解明の部分も多い。そこで、引き続き高麗銭の調査を行い、高麗銭の日本列島への伝来ルートを引き続き考察していきたい。
以上の点を調査・検討することは、これまで中国と日本のみの関係でしか見えてこなかった、東アジアの流通経済史研究に、新たな視点を提示するものである。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] 山形大学小白川図書館所蔵「物部守屋大連之碑」拓本について2013

    • Author(s)
      三上喜孝
    • Journal Title

      山形大学歴史・地理・人類学論集

      Volume: 第14号 Pages: 63~72頁

  • [Journal Article] 日本出土の古代木簡-近年(2012年)の出土木簡-2012

    • Author(s)
      三上喜孝
    • Journal Title

      木簡と文字

      Volume: 第9号 Pages: 201~209頁

  • [Presentation] 古代日本における繊維製品の生産と流通2013

    • Author(s)
      三上喜孝
    • Organizer
      山梨県考古学協会
    • Place of Presentation
      帝京大学山梨文化財研究所
    • Year and Date
      20130126-20130127
    • Invited
  • [Presentation] 古代地方社会と文字文化2012

    • Author(s)
      三上喜孝
    • Organizer
      国立歴史民俗博物館国際シンポジウム
    • Place of Presentation
      イイノホール
    • Year and Date
      20121215-20121216
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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