2013 Fiscal Year Annual Research Report
稲垣家旧蔵地図・地球儀の解析を主とした江戸後期の世界地図編纂事情究明に向けた研究
Project/Area Number |
23520793
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
吉田 厚子 東海大学, 総合教育センター, 教授 (50408069)
|
Keywords | 日本史 / 文化交流史 / 江戸時代 / 地図・地球儀 / 日蘭 / 日魯 / 国際研究者交流 / オランダ |
Research Abstract |
本研究は、19世紀前半の知識人が、日本の北方(北辺・ロシア)に関する地理的情報収集を契機として理解した世界情勢の実態を、日蘭・日魯交流史の視点から把握し、当時得られた情報内容の意義を、主に稲垣家所蔵の文献及び製作された地図・地球儀などの器物の分析を通じて解明することを目的としている。最終年度にあたる本年度は、前年度までの研究を更に発展させ、3年間にわたる研究全体の総括をした。研究期間全体を通じて、「稲垣家旧蔵地理学関連史料仮目録」が形として整いつつある成果を生むとともに、一部史料のデジタル公開化に向けた基盤が形成された。 研究代表者の吉田厚子は、稲垣家旧蔵地理学関連史料の目録化・公開化に備えて、調査・蒐集済み史料について、データ及びデジタル化した史料画像を分類・整理し、順次パソコンに保存していく作業を継続した。また、蒐集済みの関連史料を、各種世界図や洋学史関連図書・文献等を駆使して緻密に比較・解析し、各史料の内容やそれらが具有する史的意義、史料系統などの解明を目指す作業を進展させた。加えて、江戸時代における知識人の地理的情報集積過程の実態解明に関わる成果の一部を、新日本古地図学会において口頭で公表した。さらにその成果は、論文化と日本国際地図学会学術誌等への投稿に向けて、現在鋭意執筆中である。 一方、連携研究者の吉田忠は、志筑忠雄『露西亜来歴』の調査・研究を継続し、新たに洲本市立図書館に現存する儒者柴野栗山旧蔵の写本『阿羅祭亜来歴』と稲垣文庫本とのテクストの照合を行い、またファレンタインの『新旧東インド志』とオランダ語原文と対照して、同書が原本であることを確認した。さらに、同書は志筑の晩年の訳述『二国会盟録』と密接な関係があることが判明した。以上の点につき論文を作成中である。
|