2013 Fiscal Year Research-status Report
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23520794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黛 秋津 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00451980)
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Keywords | 黒海 / ロシア / オスマン帝国 / 多国籍 / 東方問題 / 国際関係史 |
Research Abstract |
前年度で先行研究文献の網羅的な収集は一応終えたものの、今年度も本研究課題に関連するいくつかの新たな研究成果が見られたため、それらを参照して参考とした。これらを踏まえて、今年度はグルジアのトビリシとフランスのパリにおいて一次史料の調査と収集を行った。 まずグルジアでは、首都トビリシにあるグルジア国立議会図書館とG.ツェテレリ東洋学研究所において、主に近世から近代移行期におけるオスマン帝国との政治経済関係に関する一次・二次史料を入手することが出来た。また、18・19世紀のグルジア史を専門とする東洋学研究所研究員イレネ・ナチュケビア氏をはじめとして数人の研究員にインタビューを行い、当課題に関して新たな知見を得ることが出来た。これらの調査の結果、オスマン帝国とグルジア西部とのいわゆる「宗主=付庸」関係の重要性が改めて確認された。一方、パリではフランス外務省附属文書館において、18世紀末に置かれた駐ブカレストフランス領事の報告のマイクロを参照した。時間的・経済的制約から十分な量の史料を見られたとは言い難いが、その領事館開設の目的が黒海通商の問題と大いに関連していることが史料の上から確認された。現在、この史料の分析を進めているところであるが、18世紀末以降の黒海の問題を考える上でフランスは、イギリスとならんで不可欠のアクターであり、今後さらなる調査が必要であることを確信した。 また今年度は、ウクライナの学会において日本のウクライナ史研究について報告する機会があり、日本におけるウクライナ史研究の歴史を紹介する中で、本研究課題についても言及し、これまでの研究成果の一端を紹介することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は、当初予定になかったウクライナでの研究成果の報告の機会を得たため、それに旅費を費やし、本来の資料調査に十分な日数と予算を割けなかったが、刊行史料の入手によりその問題を克服した。調査は順調に行われ、最終年度を迎えた現在、これまでの調査を踏まえて最終的な成果の取りまとめに向けて準備をしている段階であり、研究は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、これまでに収集した資料の分析を一通り終えて成果の取りまとめに全力をあげるつもりである。そのため、出来るだけ早い段階でルーマニアやギリシアなどのバルカン諸国での調査を行い、その調査の成果を最終的な取りまとめに含めたい。またこれまでと同様、当該国の研究者や研究機関を訪れ、交流を図ることも行いたい。
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